レスター初戴冠の裏で輝いたもう一つの躍進 トットナムの進化を導く智将の”イングランド化”戦略

指揮官が重視するチーム作りのポイント

 PFA年間ベストイレブンに選出された4名のうち、DFダニー・ローズ、デレ・アリ、ケインの3名がイングランド人。スタメンにおいても、ピッチに立つ11人のうち5人がイングランド人であり、これこそがポチェッティーノ監督のこだわるポイントになっている。英紙「テレグラフ」では、次のように語っている。

「我々は、イングランドのクラブ。個人的に重要だと思っているのは、選手と文化のバランスを保つことだ。また、クラブのユース出身の選手たちにもプレーする機会をしっかりと与える。それにより、アイデンティティーに加え、クラブへのリスペクトを示すことができる」

 ポチェッティーノ監督は2013年から1年間、サウサンプトンを率いていた際にMFアダム・ララーナ(現リバプール)、FWジェイ・ロドリゲス、FWリッキー・ランバート(現WBA)、DFルーク・ショー(現マンチェスター・ユナイテッド)ら、ユース出身の選手からベテランを含めたイングランド人選手たちを積極的に起用し、チームの主力に成長させてきた。現在トットナムでも、カップ戦などでMFジョシュ・オナマ、MFトーマス・キャロル、MFライアン・メイソン、MFキーラン・トリッピアーら、将来有望なイングランド人選手に対してプレーの機会を与えている。

 ポチェッティーノ監督は「パスポート自体は重要ではない」と国籍重視を否定した上で、「サッカーにおいて、最も大事な場はドレッシングルームだと思っている。もし、そこでのやりとりが英語で統一できるならば、それに越したことはない。大事なのは、一貫するアイデンティティーと文化だ」と力強く言葉を並べた。母国の選手として、クラブの伝統を深く理解することのできるイングランド人は、異国のリーグへの移籍に消極的であることも有名であり、欧州トップリーグからの引き抜きを防ぐ手段にもなり得る。44歳の智将は、その確固たる哲学とともに、来季以降もトットナムをさらなる高みへ導いていくことになりそうだ。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング