なぜドッキリ映像? チェルシーのトゥヘル監督、選手に戦術ビデオを見せなかったワケ

チェルシーのトーマス・トゥヘル監督【写真:AP】
チェルシーのトーマス・トゥヘル監督【写真:AP】

映像を通してどんな状況になっても、「勇敢になること」の必要性を説く

 今年1月、フランク・ランパード監督の後任としてチェルシーに招聘されたトーマス・トゥヘル監督は、異なる2クラブを率いて2年連続でUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝進出を果たした史上初の指揮官となった。その手腕が注目を集めるなか、英紙「ザ・サン」は、トゥヘル監督が意外な動画を見せたことを明かしている。

 ある日、チェルシーの選手たちは練習場に集まった。戦術のビデオを見ると思っていた彼らに示されたのは、あまりにも意外な映像だった。それは150席ある上映室のうち、148席が暴走族で埋まっており、何も知らずに上映室に入っているカップルが、空いている2席に座るかという、いわゆる“ドッキリもの”の映像だった。

 いくつかのカップルは、上映室内の様子を伺って、席に着くことをあきらめた。だが、数組のカップルは、空席を見つけて勇気を出して、映画が始まるのを待つことにした。カップルが席に着いたところでネタばらし。スポットライトに照らされたカップルは、暴走族たちから盛大な拍手と歓声を浴びて、この動画を制作したビール会社のビールを受け取るという内容だ。

 戦術ビデオを見るつもりで集まったチェルシーの選手たちは、突然、この動画を見せられて、まるで動画内に出てくるカップルのように戸惑ったことだろう。記事では、この映像を見せた理由について「トゥヘル監督は、この映像を見せることによって、勇敢になることの必要性を伝え、自分たちがどんな状況に置かれても、どんな相手と対峙しても、絶対に恐れてはならないということを伝えた」と、伝えている。

 トゥヘル監督が率いるチェルシーは、プレミアリーグで4位以内を目指すとともに、CLとFAカップで決勝進出を果たしている。チームの強い一体感が、その原動力となっているが、指揮官のこうした指導が“チームの和”を生んでいるのかもしれない。

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