「最高の頭脳×体幹」 久保建英ら師事する名トレーナー、東大サッカー部の肉体改造に挑む理由
体幹トレーニングの第一人者である木場克己氏、東大ア式蹴球部の特別指導をスタート
ヘタフェMF久保建英とレアル・マドリードのフベニールB(U-18相当)に所属するMF中井卓大には、ある共通点がある。体幹トレーニングの第一人者として知られ、「KOBA式体幹トレーニング」を主宰する木場克己氏に師事しているということだ。
様々な競技のトップアスリートを指導するプロトレーナーだが、4月から東京都リーグ1部を戦う東京大学運動会ア式蹴球部(体育会サッカー部)のフィジカル強化を担当するスペシャルアドバイザーとして指導をスタート。世界基準のアスリートを育成してきたトップトレーナーが、日本最高の頭脳として知られる東大生の肉体改造に取り組むことになった。
特別指導のきっかけとなったのは、昨季限りで現役を引退した林陵平氏が東大ア式蹴球部の監督に就任したことだ。柏レイソルや東京ヴェルディなどで活躍した林氏は、現役時代に木場氏のトレーニングを受けた1人。効果の大きさを知るからこそ、フィジカル強化に向けて木場氏の指導を受けることになった。
「最初に座学でサッカーに必要な体幹トレーニングをレクチャーしました。いつものアスリート指導のケースでは、動画からスタートしますが、今回の生徒は東大生。しかも部員に医学部の生徒もいるということなので、解剖学からスタートしました」
こう語った木場氏は、約40人の選手に対して、サッカーのプレーにおいて腹横筋など体幹部分のインナーマッスルを強化することがどんな効果をもたらすのか。人体解剖図で具体的に強化が必要な筋肉を示しながらの専門性を高めた解説に、選手たちは真剣な表情で聞き入った。
木場氏の運営する江東区の「COREトレSTUDIO」では、スペインに出発前の久保や中井らトップアスリートも実際に指導を受け、レベルアップに励んできた。ジムではオリンピック出場権を手にした逸材も汗を流すが、東大生の指導は初だと木場氏は語る。
「体幹の強度を高めるという部分に彼らはそこまで取り組んでこなかったと思うので、伸びしろは大いにあります。練習の取り組みも真剣そのものです。一朝一夕で効果が出るトレーニングはありませんが、このまま積み重ねていけば、結果に繋がると確信しています。東大生という最高の頭脳に強靭な体幹が融合したら、この先、どんなパフォーマンスにつながっていくのか。個人的にも楽しみなんですよ」
ピッチ上で久保らが実際に取り組んでいるメニューを部員たちに熱く指導した木場氏は、こう微笑んだ。今年東京都1部に復帰した東大ア式蹴球部。1部残留という目標を掲げる日本最高峰の頭脳派チームを、世界基準のトレーナーが鍛え上げることになる。
[プロフィール]
木場克己(こば・かつみ)
KOBA式体幹バランストレーニング協会代表。都内でトレーニングジム「COREトレSTUDIO」運営。鍼灸師、柔道整復師。FC東京ヘッドトレーナー(95~02年)を経て独立。久保建英、中井卓大らの専属トレーナー。
(FOOTBALL ZONE編集部)