東京五輪で“母国”と対戦 メキシコ代表の日本人コーチが抱く感慨「すごい巡り合わせ」

「僕にチャンスを与えてくれた人への感謝の気持ちを忘れないようにしたい」

 西村氏はプロ経験こそないが、メキシコの指導者養成学校で同期だった元メキシコ代表MFでもあるハイメ・ロサーノ監督からの依頼を受け、18年12月のチーム立ち上げ時から同国五輪代表のコーチを務めてきた。その前にも、17年にメキシコ1部ケレタロで監督を務めたロサーノの右腕としてコーチを務めており、指揮官からの信頼は厚い。それだけに、特に日本戦に向けてのスカウティングではチーム内で重要な役割を担うことになる。

 母国日本で開催される五輪に出場できることについては、感慨深いものがあると西村氏は言う。

「本当にすごい巡り合わせだなと思う。ここまで支えてくれた人、僕を信頼してチャンスを与えてくれた人への感謝の気持ちを忘れないようにしたい。国際大会にメキシコ代表の一員として参加できることに対する感謝と興奮を感じながら、世界にメキシコのサッカーを見せつけたいですね」

 12年のロンドン五輪では準決勝で日本を下し、優勝を飾ったメキシコ。今回のチームは、19年6月にフランスで行われたトゥーロン国際大会の準決勝で2-2の同点からPK戦の末に日本に敗れたが、同年9月にメキシコで行われた親善試合では0-0で引き分けており、今回の五輪では3度目の対戦となる。西村氏は外国人ながら、メキシコ五輪代表チームの一員であるという自覚と強い責任感を胸に、いざ五輪の舞台に挑む。

[プロフィール]
西村亮太(にしむら・りょうた)
1985年4月29日、大阪府生まれ。大塚高、天理大までサッカーを続ける。筑波大大学院で指導者の道へ。2010年に交換留学生としてメキシコに渡り、13年に指導者養成学校を卒業。指導者資格を得る。同国のクルス・アスル、パチューカ、サントス・ラグーナでアナリストや下部組織のコーチを経て、16年にタンピコ・マデロ、17年にはケレタロでトップチームのコーチを務める。18年12月からメキシコ五輪代表コーチ。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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