Jリーグは「川崎一強」でも心配なし? “バイエルン一強”のドイツに見る地域密着の力
【識者コラム】過去4年で3回優勝の川崎、名古屋に快勝して今季も独走態勢へ
木曜日に前倒し開催されたJ1リーグ第22節で、川崎フロンターレが名古屋グランパスに4-0で快勝した。川崎はこれで11勝2分0敗。早くも独走態勢と言っていいかもしれない。
Jリーグはこれまで混戦が普通だった。どのチームにも優勝のチャンスがありそうな特異なリーグだったが、それももう終わったようだ。川崎は過去4年で3回優勝、今季も優勝候補筆頭である。
川崎の“一強リーグ”を心配する声もあるが、ヨーロッパの主要リーグはだいたい一強ないし二強リーグだ。
ブンデスリーガはバイエルン・ミュンヘンが最多30回の優勝。2番目がボルシアMGとドルトムントだが、優勝回数はたった5回だ。
二強リーグはスペインとポルトガル。リーガ・エスパニョーラはレアル・マドリードの優勝が34回、バルセロナ26回。3番手はぐっと下がってアトレティコ・マドリードの10回。ポルトガルもベンフィカ(37回優勝)とポルト(29回)の二強。3番手のスポルティングCPが18回優勝しているが、あとはベレネンセスとボアヴィスタが1回ずつ優勝しているだけだ。
イタリアも似たようなものでユベントスが36回優勝、ACミランとインテルが2番手で18回ずつ、その後はジェノアが9回優勝しているが、ずいぶん前の話になる。
フランスは特殊だ。最多優勝はサンテティエンヌ(10回)。2番手はパリ・サンジェルマン(PSG)とマルセイユの9回、ナントとモナコが8回、2001-02シーズンから7連覇したリヨンが続く。最多でも優勝10回だから、優勝チームはかなりバラけている。ただ、ここ数年はPSGの一強と言っていい。
イングランドはプレミアリーグになってからマンチェスター・ユナイテッドが13回の最多優勝。プレミア以前のフットボールリーグ時代はリバプールの18回が最多だが、プレミアではまだ1回しか優勝していない。
プレミアもユナテッドの一強的ではあるが、マンチェスター・シティがここ10年で4回優勝していて、2回のユナイテッドと地位の逆転が起こっている。先日ポシャった欧州スーパーリーグにも当初6クラブが参加表明していたように、ヨーロッパ主要リーグの中では最も優勝予想がしにくい。それでも可能性があるのは、だいたい4チームぐらいだろうか。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。