年間10ゴールを奪うボランチへ 浦和の”10番”柏木が本能のままに振り抜いた右足

課題克服への強い意識が右足弾を生む

 柏木は、これが4月29日の名古屋戦に続くリーグ戦2試合連続ゴールになった。すでに今季はこれが3ゴール目だが、そのうち2本が利き足ではない右足でのものだ。自分が良い状態を整えてからというプレーで利き足に持ち替えていれば、ゴール前の相手DFがひしめくなかではシュートに至らなかっただろう。自身で課題を見つめ直し、それを克服する気持ちを持ったプレーを心掛けていることが結果に表れている。

 この日の浦和は特に前半はミスが多く、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督も選手たちも「内容が良かった試合ではない」と口を揃えた。だからこそ、柏木は「このチームが苦しいところを救うゴールを決められたことが嬉しい。チームが良くない時、誰かが良いプレーをできない時に誰かが助けられる。それが良かった」と、自身のゴールの価値を噛みしめた。

 昨季からボランチに定着し、ゲームメーカーとして機能するプレーはすでに定評がある。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督もその能力を高く評価している。その長所を保った上で、さらに一段階上を目指すこと。それを体現したプレーで、今季から浦和の歴史のなかで日本人として2人目の「背番号10」を背負う男が、ダービーの勝利をもたらした。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

 

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