「浦和に恩返しがしたかった」 元Jリーガーが保育園開園、サラリーマンを経た新たな道

描き始めた自らの明確な未来像「60人以上の認可保育園を開所したい」

 さいたま市は昨年と一昨年の4月1日時点で、申請しても認可保育所などに入所できない待機児童が、2年続けて全国で3番目に多かった。そこでさいたま市は昨春、浦和や大宮など9駅周辺で小規模保育園を運営する事業者を公募。三上は「待機児童という深刻な社会問題と向き合い、育ててもらった浦和に恩返しがしたかった。地域貢献の思いも強かったですね」と意を決し、昨夏から開園に向けての準備を進めてきた。

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 アイルは昨年12月末に退社し、現在は契約社員として勤続中だ。 

 4月1日、埼玉県庁近くに0~2歳児を対象にした小規模保育施設「ルアナ保育園」を開所。児童8人を受け入れた。自営業の父・憲治さんは「リーダーとして切り盛りするからには、周りの理解を得ることと気配りが一番大切です。互いに助け合って成功してほしい」と見守る。

 保育園の責任者である『管理者』になるには、児童福祉関連事業に2年以上従事することが要件となるが、三上はアイル・コーポレーションで、さいたま市子ども家庭総合センターという児童福祉施設に立ち上げから8年ほど携わった。前職での経験がものをいったわけだ。

 ルアナ(Luana)とはハワイ語で“みんなで楽しむ”を意味する。「小規模保育園の定員は6~19人ですが、将来的には社会福祉法人を立ち上げ、60人以上の認可保育園を開所したいですね」と夢を語る表情は、ようやく明確な将来の設計図を描けた充実感に満ちていた。(文中敬称略)

河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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