「正しい道」を歩む清水とホーム未勝利の悪夢 “ロティーナ戦術”の開花はすぐそこに?

“ロティーナサッカー”は10試合を経過してから開花する?

 そのまま1点を守り切り、ホーム初勝利かと思われた後半43分、途中出場の湘南MF毛利駿也のクロスを新型コロナウイルス感染拡大の影響で来日が遅れ、4月4日に日本へ入国、14日間の待機期間を経て、20日から全体練習に合流し、この試合で途中出場ながら初出場となったFWウェリントンに、豪快なヘディングシュートを決められ同点とされてしまった。「ゴールはゴラッソでサッカーでは防げないゴールもある。あれだけ遠い位置から、あれだけパワーを持ったヘディングが枠に入るというのは、サッカーでもなかなか起きないことだが、それが起きることもある。ディフェンスが悪かったとは思っていない」とロティーナ監督もウェリントンのゴールを絶賛していた。

 ただ、ホーム開幕戦となった第2節アビスパ福岡戦は後半アディショナルタイム2分。第9節の神戸戦は後半43分。そしてこの試合も後半43分に同点弾を食らい、引き分けとなった。「十分に2点目を取れるチャンスがあったが、2点目が取れなかったこと」をロティーナ監督は引き分けに終わった要員に挙げており、先制点を決めたサンタナも「落ち着きを持って良いフィニッシュに繋げていきたい」と決定機での個の質の向上を課題に挙げた。

 土壇場で同点とされた3試合を勝ち切ることができていれば、今の勝ち点に6点が加わり勝ち点17となっていたことを考えると、失った勝ち点は大きい。もちろん、チャンスを決め切って追加点を奪うことも重要だが、「個の質の向上」ほど難しい修正点はないとも思っているので、併せて1点差で勝ち切るゲーム運びも必要ではないだろうか。

 それにはピッチに立っている選手たちの意思統一と選手交代などのベンチワーク、そしてコロナ禍ではあるがスタジアムの雰囲気も欠かせない。11試合を消化した時点で2勝5分4敗の勝ち点11での暫定16位。自動降格圏の17位G大阪はまだ4試合を未消化で勝ち点6ということを考えれば全く予断は許さないが、明らかに試合内容は向上している。昨季までの大量失点がなくなり、攻撃の形に目途が立って中盤戦に突入するリーグ戦は、「10試合が経過してからロティーナサッカーは開花する」とサポーターがつぶやく都市伝説が、清水でも証明されるのか。通常のシーズンより4試合多いリーグ戦はまだ27試合も残っており、楽しみな「道のり」はまだまだここからスタートする。
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(Sの極み・下舘浩久 / Hirohisa Shimodate)



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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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