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“崩壊寸前”の欧州スーパーリーグ構想、“48時間”で投げかけた現代サッカーへの課題
新リーグ構想を打ち出すも欧州各国から猛反発、政府レベルから反対の声も
現地時間4月18日に発表された欧州スーパーリーグ構想は、わずか48時間で空中分解した。日本時間21日の朝になり、同リーグは正式に「プロジェクトを再構築するための最も適切な手順を再検討する」と、事実上の崩壊を認めた。
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発表された構想では、スペインの強豪レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が初代会長を務める。イタリア・セリエAの名門ユベントスのアンドレア・アニェッリ会長は、すでに欧州サッカー連盟(UEFA)の理事を辞任し、この2クラブが中心的な役割であることが表面化していた。
スペインではレアルの他にバルセロナとアトレティコ・マドリード。イタリアはユベントスに加えてACミランとインテル。イングランドはマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、アーセナル、リバプール、チェルシー、トッテナム。その合計12クラブが参加を表明し、さらにドイツなどから3クラブを加えた15クラブが固定メンバー。さらに5クラブを加えた20クラブでのリーグ戦構想を打ち出した。
この時点でフランス王者パリ・サンジェルマン(PSG)や、ドイツ王者バイエルン・ミュンヘンは参加していなかった。後に、バイエルンはカールハインツ・ルンメニゲCEOがこの構想を批判し、バイエルンが参加しないことを明言していた。
ペレス会長の言い分は、現在の新型コロナウイルスの影響による減収はあまりにも大きく、既存のシステムでは難しい。インターネットが生活様式を変え、若年層がサッカーから離れつつあり、その理由に質の悪い試合が多々あることを挙げていた。エリートクラブによる集合体という批判には、むしろ「サッカーを救うためのリーグだ」と発言していた。
そのリーグでは、より短い単位でサッカーを視聴できるためのクオーター制の導入などもささやかれた。しかし一方で、その背後には米国資本が見え隠れしていた。金融情報を扱う「ブルームバーグ」では、米総合金融「JPモルガン・チェース」が総額40億ユーロ(約5200億円)をこのスーパーリーグ構想に出資すると報じていた。
この発表から、サッカー界では大きな批判が相次いだ。UEFAでは今季のチャンピオンズリーグ(CL)から、準決勝に勝ち残っているシティ、チェルシー、レアルを大会から即座に除外する決議を現地時間23日に行うという反応があり、6月に欧州選手権(EURO)の開幕を控えているなか、この12クラブに所属する選手が代表チームでプレーすることも認めないという反応があった。
また、リバプールのユルゲン・クロップ監督や元イングランド代表MFジェームズ・ミルナーは公然とこの構想を批判。シティのジョゼップ・グアルディオラ監督も批判の声を上げた。元イングランド代表でトットナムOBのゲーリー・リネカー氏、元フランス代表でユナイテッドOBのエリック・カントナ氏も同調。それに加え、ボリス・ジョンソン英国首相も明確にこの構想を批判するなど、政府レベルからも反対の声が上がった。まさに、火だるま状態の大炎上となった。