J1の“蹴り入れ疑惑”をどう見る? 元日本代表DFが持論「お咎めなしはおかしい」
大久保とファン・ソッコの間で起きた“蹴り入れ疑惑”に栗原勇蔵氏が言及「難しい問題」
2021シーズンのJリーグも序盤戦を終えたなか、話題を集めた1人が今季から古巣セレッソ大阪に復帰した元日本代表FW大久保嘉人の復活劇だ。昨季はJ2東京ヴェルディで無得点に終わっていた38歳のストライカーだが、今季は開幕5試合で5得点を記録する活躍を披露するなどサッカーファンを沸かせている。
一方、今月2日に行われたJ1第7節サガン鳥栖戦(1-0)で大久保と相手DFファン・ソッコの間で生じた“蹴り入れ疑惑”も、世間で話題を呼んだ。大久保が見せたジェスチャーに注目が集まることになったが、横浜F・マリノス時代に何度もマッチアップしてきた元日本代表DF栗原勇蔵氏が「Football ZONE web」のインタビューに応じ、この場面について持論を展開している。(取材・文=Football ZONE web編集部・城福達也)
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開幕6試合で無失点を維持していた鳥栖だったが、この試合では後半10分、32分に守備の要ファン・ソッコがイエローカードを受けて退場処分となったことが響き、C大阪に0-1で敗れた。そして、物議を醸しているのが、1枚目のイエローカードの場面だ。
後半10分、自陣右サイドでファン・ソッコがボールを持った際、大久保が激しくプレッシングをかけ、ファン・ソッコはGKへのバックパスを選択。その際、執拗なチャージに苛立ったのか、ファン・ソッコは背後から大久保に向かって右足を蹴り上げる素振りを見せる。すると、大久保は左太ももを抱えながらピッチに転倒し、主審にアピール。ファン・ソッコも抗議の姿勢を示したが、最終的にはイエローカードが提示されていた。
インタビュー中、栗原氏に該当シーンの動画を確認してもらうと、「正しいか、そうではないかという結論に関しては、難しい問題ではある。ただ、結局主張しないと、レフェリーは気づかないわけだからね」と指摘。その一方で栗原氏自身、選手時代と引退後ではピッチ上で起きる事象に対して、見方に変化が生じたと明かしている。
「引退してから思うのが、僕が現役時代の時は“大久保嘉人寄り”だった。なぜなら、勝ちたいから、相手が間違ったことをしたから、勝つための手段としては正しいから。でも引退して、試合を観るのを楽しむ立場になってからは、フェアプレーは観ていて気持ちいいんだなと実感した。ピッチに立つ選手の視点と、観る側の視点には、その温度差やギャップが実際にはある」