元Jリーガー小椋祥平、銀座でサロン経営 コロナ禍の挑戦に“マムシ”の真髄を見た
接客をして日々発見「疲れている顔が分かるようになりました」
こうしてトータルリカバリーサロン「Re:room」をオープンしたのは、自身35度目の誕生日となる昨年9月8日だ。
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「ちょうど『キューヨー(休養)の日』で語呂が良かったので(笑)。まだ手探り段階でいろいろ修正しながら利用者にとって居心地の良い空間を作っていきたい。そのために、まずはリカバリーという言葉や意味を広めていくことが重要だと思っています。この銀座の店舗だけで利益を生み出すという考えはあまりなくて、自分がお世話になった方々が多く住んでいる、例えば横浜や甲府にもこういった施設があれば人々の暮らしがより豊かになるんじゃないかなと想像しています」
銀座という土地柄もあり、2008年から14年まで7年間在籍した横浜FMのファン・サポーターが多く来店しているという。酸素カプセルで高濃度酸素を取り込むと、72時間程度は体内に残る。そのため理想は3日に1回の来店だが、毎日のように足を運んでくれる熱心なリピーターもいる。金曜日から月曜日までは小椋自身が対応し、酸素カプセルとパワーナップは会員になれば2500円ずつでビジターでも3000円と手頃な価格設定だ。30分ずつ計1時間あれば十分なサービスを受けることが可能で、時間が長くなれば効果が上がるわけでもない。
「マッサージは人が施術するので、どうしても当たり外れがありますよね。酸素カプセルとパワーナップは機械なので常に一定の効果を得られます。初めて体験する人が必ず眠れるわけではないですけど、アイマスクとヘッドフォンをしているので情報は遮断できていて、十分にリカバリー効果を得られています。寝付きや寝起きが良くなるだけでなく、眼精疲労にも効果があって、貧血になりやすい体質を改善させることもできます。価格設定については継続的にサービスを受けてほしいという思いがあります。1回よりも2回、2回よりも3回と回数を重ねることで得られる効果を体感してもらいたい」
新型コロナウイルスとの終わりの見えない戦いは、気がつけば開始から1年以上が経過した。今やマスクを着用しない日はなく、財布や携帯電話と並ぶ持ち歩き必須アイテムである。疲れやストレスは直接的に目に見えるものではないが、サロンをオープンしてからはお客さんの表情を見て感じることがあった。
「お客さんがお店に入ってきてくれた瞬間、疲れている顔が分かるようになりました。どこか元気のない表情なんです。酸素カプセルとパワーナップでリカバリーしてもらって、空いている時間に悩みを聞いて、他愛もない話をする。少しずつ表情が変わっていって、帰る頃には顔がまったく違うものになってくれたら嬉しい」
毎日に発見があり、それがやりがいにつながっている。
藤井雅彦
ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。