インザーギが語るミラン復活の理由 ピッポミランの合言葉は「情熱」「信頼」「感謝」

かつての姿を取り戻し始めたロッソネロ

 そして、インザーギ監督は改めてミランへの忠誠と、愛を言葉にした。
「われわれのコンセプトはミラニスタであること。会長から伝えてもらったことを、選手たちに伝えている。会長、バルバラ、ガリアーニもみんながいつも近くで結束している。感謝している。一番ポジティブなのは、選手たちみんなが懸命に全力を尽くしてくれていること」
 選手、フロント、スタッフ、サポーター、全てに対する感謝を常に忘れない。現役時代に相手最終ラインで駆け引きを繰り返し、独特の嗅覚でゴールを量産した“スーペル・ピッポ”。そのプレースタイルは、独善的なエゴイストに映ってきた。だが、トップチームの監督1年目の現在は決して自らの功を誇ろうとしない。不振で批判の集まった日本代表MF本田圭佑を一貫してかばい、辛抱強く起用し続け、再生に導いた。
 戦術史上主義のカルチョの国では監督が偉大なる主役の1人だ。監督会見では功績や、相手の長所を封じ込めた戦略の偉大さを誇ることは日常茶飯事。だが、インザーギ監督は、それとは対照的に他人の献身を誇る。キーワードは情熱、信頼、そして、感謝。惜しみない愛を注ぎ込むピッポ哲学こそが、凋落したミランを再び戦う集団と変貌させた最大の要因なのかもしれない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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