J1リーグ初制覇に避けては通れぬ壁 指揮官と主将が挙げた川崎の課題とは
ポテンシャルを引き出すための積極性を
対する谷口は、今季ここまで本職のCB以外に左サイドバックとしての起用が多く、この試合ではボランチとして先発し、試合途中からは右サイドバックを務めた。「できれば1つのポジションでやり続けたいが、チーム状況も変わるし、いろんなポジションでプレーできる自分の持ち味を、今はチームのために活かせれば」と前向きな姿勢を示した一方で、試合ごとの役割の変化により、「その位置の癖だとか、体の向き一つにしても、細かいところの切り替えがまだ難しい」と、もどかしさを感じている一面も覗かせた。
しかし、大島は谷口とのコンビについて「今日の中盤の組み合わせであれば、自分はいつもより前でプレーすることを考えた」と語り、その意識が右サイドをドリブル突破しボックス内で角度のないところからの強烈な右足の同点弾を生み出した。まだ機能性に難を抱えている一方で、大島の攻撃力を最大限に引き出すボランチコンビになる可能性も大いに秘めていることを示した。
風間監督は、ボランチを含むチーム全体に、積極性を一貫して要求した。
「システム変更というのは、あくまで選手に刺激を与える手法であり、積極性を引き出す小細工でしかない。今日はピッチで楽しくプレーしている若手が少なかったのが一番の痛手だった。失敗してもいい。やりたいことをやるのが大事」
今日のメンバーでは大島と谷口だけでなく、DF奈良竜樹やDFエドゥアルドのCBコンビもともに23歳、途中出場のMF三好康児は19歳など、ピッチに立った平成生まれが計8人と多くを占めている。この若手たちが苦しい局面で積極性を体現することこそ、川崎を次のステージへと導く鍵となるかもしれない。
【了】
城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images