J1リーグ初制覇に避けては通れぬ壁 指揮官と主将が挙げた川崎の課題とは
前節に引き続きボランチを組んだ大島と谷口
「うちの若手には大きな期待が寄せられている。だからこそ、あの2人が今日の試合でもボランチを託された」
試合後、川崎フロンターレの主将MF中村憲剛は、そう口にした。
4日に行われたJ1ファーストステージ第10節で、ホームにベガルタ仙台を迎えた川崎だったが、結果は1-1のドロー。風間八宏監督が「我々のやりたいことは何一つできなかった」と頭を抱える試合となった。
続けて指揮官は、低調な試合内容について、「例えば18歳のルーキーでも、チームの中心は俺だという意気込みで臨むのがプロサッカー選手。俺が中村憲剛を超える、俺が大久保嘉人を超える、そういう姿勢で戦うのが若手には大事」と言及。若手の奮起に満足いかなかった様子を垣間見せた。
この試合、先発選手の平均年齢は27歳、ベンチメンバーを入れると26歳というチーム構成になっていた。そのなかで、経験値が大きなアドバンテージとなるボランチのポジションには、前節のガンバ大阪戦に続き、24歳のMF谷口彰悟と23歳のMF大島僚太という若きコンビが配置された。
この起用には前線の選手の負傷も理由に挙げられるが、攻撃でセンスを光らせる大島、守備で持ち味を発揮する谷口という、攻守のバランスを重視した”将来の川崎”に向けた采配であるとも推測できる。
しかし、G大阪戦ではエースFW大久保嘉人が貫禄の決勝ゴールを挙げて1-0と勝利を手繰り寄せたものの、中盤の戦いで劣勢に回る時間が多かった。そしてこの日の仙台戦では、なかなか試合の主導権を握ることができず、不完全燃焼のドローで試合終了のホイッスルを迎えた。中村は、ボランチでコンビを組むことの多い大島について、次のように課題を挙げた。
「(大島)僚太は隣が誰であろうと、もっと自分の意思でゴール前に顔を出してくれないと。今日だって、それでゴールを決めてるんだからさ。俺とか嘉人が要求してパスを出すだけじゃダメ。今はまだ単純な横パスが目立つ。縦に攻めるための横パスはまだまだ。あいつは、俺らを操るくらいじゃないと。アクが強いベテランが多いけど、俺とか嘉人はどうしたってマークが厳しくなる。だから、僚太の存在がより一層このチームで重要になっている」
主将は若き背番号「10」にあえて厳しい言葉を投げかけたが、最後に「俺が一番あいつに期待してるからこそ」と、力強い激励も送った。