清水が攻守に課題露呈 “昇格組”徳島に3失点完敗、見せつけられた「成熟度の差」

今季2度目の完封負けで黒星先行

 先月30日のワールドカップ・アジア2次予選の日本代表対モンゴル代表との試合で、日本代表GKとして9試合連続無失点の最多記録を更新した権田だったが、代表とは違い2失点を止めることは難しかった。クラブに戻ってからの取材ができていないが、精神的にも強いチームに生まれ変われるように、その豊富な経験をチームに還元してくれることを願う。

 そして、「ハーフタイムにいくつかの修正をし、3人をチェンジして逆転を目指したが、立ち上がりにPKを与えて失点をしてしまい、そこから焦りが出てミスも多くなり、賢いプレーよりも気持ちが先走ったプレーが多くなってしまった」と、この2失点目で「出端をくじかれた」とロティーナ監督は説明した。

 それでも前半40分過ぎと後半の飲水タイム明け、そして徳島にカウンターからダメ押しの3失点目を決められた後の残りのアディショナルタイムには徳島ゴールに迫ったが、決め切ることができずに今シーズン2度目の完封負けとなり、リーグ戦2勝2分3敗と負け数が先行。得失点差も今シーズン初めてマイナス域に突入し「-2」となった。

 奇しくも4月1日のエイプリルフール企画として63歳のロティーナ監督がFWとして現役復帰を果たし、MF中山克広の11番を譲り受け、ユニフォーム姿のロティーナ“選手”の紹介もこの日のスタジアムのビジョンに流された。徳島戦後のSNSには「FWロティーナ選手が出ないから得点ができなかった」などの投稿もあったが、なかなか攻撃の形も作れず得点が奪えないこの状況を危惧し、実はクラブもロティーナ監督も真剣に復帰を考えていたのではないかと、密かに思っているのだが……。

 そんな冗談が言えるうちに、ある程度のスタイルが確立されることを期待している。ただし、チーム作りがそんなに簡単でないことは、ここ近年で学んでいるはず。今年こそは中途半端に諦めることなく、我慢強くチームを作り上げて欲しいと願っている。すでに過密日程の第2弾に突入し、ここからは35日間で10試合の公式戦が予定されているが、まずは怪我に気を付けてコンディションを整えつつも、戦術理解を深めてチーム一丸となって邁進し、勝ち点を積み上げることが、後の結果に大きく影響することになるだろう。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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