Jリーガーから常務取締役へ 元磐田MFがマウスガードの普及に尽力する理由
【元プロサッカー選手の転身録】太田吉彰(元磐田、仙台)後編:負傷に悩まされた現役時代に出会ったマウスガード
世界屈指の人気スポーツであるサッカーでプロまでたどり着く人間はほんのひと握り。その弱肉強食の世界で誰もが羨む成功を手にする者もいれば、早々とスパイクを脱ぐ者もいる。サッカーに人生をかけ、懸命に戦い続けた彼らは引退後に何を思うのか。「Football ZONE web」では元プロサッカー選手たちに焦点を当て、その第2の人生を追った。
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今回の「転身録」は、かつてジュビロ磐田とベガルタ仙台でプレーし、2007年には日本代表にも選出された太田吉彰(37歳)だ。2019年限りで現役を引退した太田は今、選手時代から愛用しているアスリート用のマウスガード「Neutral」の普及など、様々なプロジェクトに取り組んでいる。後編では「誰かの支えになりたい」との思いを胸に動く、セカンドキャリアでの日々を追った。(取材・文=石川 遼)
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ジュビロ磐田、ベガルタ仙台の2クラブでプレーしたのは通算18シーズン。太田吉彰は長いプロ生活の経験を次の世代に伝えるための活動を第二のキャリアとして選択した。自身も現役時代に5年間使用したマウスガード「Neutral」の普及と、プロから大学生までサッカーだけでなく様々な競技のアスリートの選手生活を守るプロジェクトに携わっている。
太田がマウスガード「Neutral」と出会ったのは、仙台から磐田に復帰した2015年。仙台では12年から3年連続でリーグ戦フル出場を続けていたが、体には疲労が蓄積し、筋肉系の負傷に悩まされた時期もあった。パフォーマンスが上がらずメンバーから外されることも。そんな折にマウスガードを紹介され、試合で着用するようになった。筋肉の緊張を解く効果があり、脳震とうの予防にも効くとされるマウスガードをつけると、パフォーマンスも本来の動きに戻り、怪我の悩みから解放された。
「一般的なマウスガードは基本的に歯を守ることをメインとしていますが、Neutralは噛み合わせを良くし、全身の筋肉の緊張をとって関節のバランスを向上させる効果が期待できます。体に余計な力が入ってしまうと筋肉が固まって肉離れなどに繋がりやすくなってしまうので、そのリスクを減らすことができます。
僕自身、現役時代に前十字靭帯断裂という大きな怪我をしていて、苦しい時期を過ごすアスリートの気持ちはよく理解できます。そういった人たちの力になれるよう、マウスガードを使った怪我の予防やパフォーマンスの向上をサポートしています」
現役を引退した太田はNeutral株式会社の常務取締役となり、現在は「Neutral」の普及に努めている。Neutralはサッカー界だけでなく、東京五輪に出場する他競技のアスリートや、2019年のワールドカップで一世を風靡した日本ラグビー日本代表選手も使用するなど、競技の枠を越えて広がりを見せている。最近では川崎フロンターレのFW小林悠、MF大島僚太、MF三笘薫や、今季セレッソ大阪に復帰してゴール量産中のFW大久保嘉人、アルビレックス新潟DF千葉和彦らのマウスガードを製作したことをインスタグラムを通じて報告している。