ロドリゲス体制の“ベストゲーム”、浦和の攻撃を蘇らせた「背後」への意識
ホームの鹿島戦で2-1快勝、新システム導入と指揮官の“働きかけ”が奏功
浦和レッズは3日、リーグ第7節で鹿島アントラーズをホームに迎え2-1の勝利を飾った。懸案だった流れの中からのゴールも生まれ、今季の中でもベストゲームと言えるような内容となったこの試合の背景には、リカルド・ロドリゲス監督による1つの意識づけがあった。
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浦和は2月27日に行われたFC東京とのリーグ開幕戦(1-1)から3月27日のルヴァン杯第2節の柏レイソル戦(0-1)まで、1カ月で公式戦8試合を戦ったがトータルでわずかに3得点。それも全てがセットプレーからのものだった。ロドリゲス監督の下でマイボールをつなぎながら攻撃するサッカーに取り組んでいるが、ボール保持率に対してシュートの場面を作り出すことに苦労している時期を過ごしてきた。
そうした中で、この鹿島戦では機動力が武器のFW武藤雄樹を1トップに起用し、2列目に4人を並べてMF柴戸海が1ボランチを務める新システム(4-1-4-1)を導入した。武藤は「今日は僕が1トップだけど、1トップらしくなく、降りたところを2列目の選手が飛び出すなど距離感を良くしよう」という狙いがあったと話す。
1点目は右サイドでDF西大伍がボールを持った時に、武藤が中盤に下がって相手を引き付けた背後にMF明本考浩が飛び出し、西からのボールを受けてGKとの1対1を制して、今季のゲームで流れの中から始めてゴールが決まった。2点目は、武藤が少し下がって受けたところで、明本が最前線に飛び出すところにスルーパス。このボールを受けようとしたところで明本が倒されて得たPKをDF槙野智章が決めたものだった。
明本はトレーニングからロドリゲス監督による「背後、背後と常に意識させられていた」という働きかけがあったと話す。また、「手応えとしては今シーズンで一番いい試合ができたかなと思うし、自陣から相手を揺さぶる、当てて落として3人目というシーンもできていたので良かったと思う」と、試合内容にも満足感を示した。
この日が47歳の誕生日だったロドリゲス監督は「こういった形(システム)は以前から考えていた。大事なのはシステムだけでなく、選手の特徴や組み合わせ、それが噛み合うこと」と話した。実際に、柴戸はここまでリーグ戦でダブルボランチの一角での起用は少なかったが、1ボランチでプレーしたこの試合では役割が明確になり高いパフォーマンスを見せた。
これまでFW杉本健勇にボールを預けながら、背後を取る選手がいないことで相手の最終ラインが高くなり、中盤が狭くなるという現象も招いてきた。シンプルな言葉ではあるものの「相手の背後」という意識づけが、浦和の攻撃の機能性を大きく高めた要因だと言えそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)