東京五輪への競争は横一線 「3密」徹底に“幅と深さ”…Jリーグ勢が見せた修正力
東京五輪メンバーの“当落の基準”は、今回の強化試合を通じてはっきりした
さらに、第1戦でほぼ見かけなかった背後を突く攻めも試みている。ライン裏へ落とす瀬古の縦パスから林がねじ込んだ先制ゴールがそうだ。攻撃の要諦は“幅と深さ”と言われるが、この試合の日本はどちらも抜け目なく活用し、アルゼンチンを大いに苦しめた。
狭い囲み、切り替え、球際、立ち位置、幅と深さ――。攻守を問わず、やるべきことが整理され、それを休まず実践すれば、堂々たる戦いができる。この日の勝利はその証だろう。
個人に目を向ければ、追加招集でゴールという結果を残した林、攻守の心臓となった田中碧など、その存在を強く印象づけた選手は少なくなかった。第2戦で先発した海外組は久保と板倉のみ。残る9人は国内組だった。
第1戦で消化不良の内容に終わった海外組の心中は穏やかではないはずだ。海外組、国内組の違いを問わず、球際の激しいバトルを含め、やるべきことを実践する力の欠けた選手は熾烈なサバイバルを勝ち抜けないだろう。
国内組の見事な突き上げで、競争は横一線。最終的に誰が残り、誰が脱落するのか。少なくとも、当落の基準だけは今回の強化試合を通じて、はっきりしたはずだ。無論、攻守の両面で必要なオーガナイズをチームに落とし込むベンチにとっても――。
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(北條 聡 / Satoshi Hojo)
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北條 聡
1968年生まれ。Jリーグ元年の93年にベースボールマガジン社に入社し『週刊サッカーマガジン』編集部に配属。日本代表担当として2002年日韓W杯などを取材した。04年から『ワールドサッカーマガジン』編集長、09年から『週刊サッカーマガジン』編集長を歴任。13年にフリーランスとなり、現在は様々な媒体で執筆している。