「不良品から王者に」「戦力外とバーゲンセール」岡崎らレスターの成り上がり軍団の軌跡を英メディアが大特集

守護神は英3部、エースは英5部で修行の日々

 創設132年でプレミアリーグ初優勝を遂げたレスターだが、日本代表FW岡崎慎司が「これまで日の目を見ることがなかった男たち」と語る通り、これまで無名だった選手たちが中心となって奇跡を成し遂げた。英国営放送「BBC」では「不良品からプレミアリーグチャンピオンに」との特集を組んでいる。

 7シーズン前には3部リーグに所属するなど典型的な弱小クラブだったレスターだが、今季はクラウディオ・ラニエリ監督のもとで一致団結して首位の座を守り切った。同局ではレスターを「クビになり続けた監督が率いて、戦力外とバーゲンセールされた選手たちのチーム」と表現し、主力選手の数奇なキャリアとエピソードを紹介している。

 まずは守護神として最後方から支えたのはデンマーク代表GKカスパー・シュマイケル。現在29歳のカスパーはマンチェスター・シティでプロとしてのキャリアを歩み始めたが、その後はイギリス国内のクラブを転々とした。スコットランドリーグからウェールズのクラブ、イングランド3部のクラブでプレーしたこともあった。2011年にレスターに移籍し、弱小の頃からチームを支えてきた。

 ディフェンダー陣も苦労人が勢ぞろいする。右サイドバックのダニー・シンプソン(29歳)はマンチェスター・ユナイテッド時代にはクリスティアーノ・ロナウドらとチームメートだった経験を持つが鳴かず飛ばず。左サイドバックのオーストリア代表DFクリスティアン・フクスも代表通算74試合出場を誇りながら、15年のレスター移籍は移籍金ゼロで加入している。

 センターバックで主将のウェズ・モーガンも12年1月のクラブ加入の際に支払われた移籍金は約100万ポンド(1億5600万円)だった。モーガンの相棒で元ドイツ代表DFロベルト・フートは、プレミアの強豪チェルシーを“お払い箱”になり、ミドルスブラ、ストークと渡り歩いた末に15年にレスターに加入。チェルシー時代にはラニエリ監督の指導を受けており、再びレスターの地で師弟関係となって優勝に貢献するドラマチックなキャリアとなった。

 チームの生命線・高速カウンターの起点役となったダブルボランチは、無名の存在から一気にその名を轟かせた。岡崎がMVP級の働きを見せたと称するMFエンゴロ・カンテは母国フランスのブルーニュ、カーンを経て今季からレスターの一員に。強烈なタックルを連発し、ボール回収役を担っている。

 MFダニー・ドリンクウォーターは9歳の頃からマンチェスター・ユナイテッドの下部組織に所属した。イングランドの世代別代表に名を連ね、09年にはトップチーム登録されたものの、毎年レンタル移籍に出され“赤い悪魔”での公式戦出場はかなわなかった苦い過去がある。カンテはフランス代表、ドリンクウォーターはイングランド代表にも選出され、6月の欧州選手権メンバー入りを期待されるまでに成長している。

 

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