「アルゼンチン超えの能力」と絶賛したのは? U-24日本代表、出場17人を金田喜稔が採点
久保の積極的な姿勢を高く評価するも「彼にしては珍しいキックミスが見られた」
■久保建英(ヘタフェ/→後半30分OUT)=★★★★
2試合を通じてボールを積極的に引き出し、果敢にゴールへ向かっていく姿勢を見せ続けた。要所要所でスーパーなトラップも披露しており、相手にとっては間違いなくアタッキングサードで最も嫌な相手だっただろう。CKからの2アシストも評価されるものだが、フル出場から中2日での試合というのが影響したのか、流れのなかでは久保にしては珍しいキックミスが見られていた。右サイドで相手を左にかわして中央にクロスを上げた場面でも、少しズレて相手に当たるなど、彼の才能を考えればキックミスと言えるシーンがあった。所属するヘタフェで出場機会が不足している影響があるのかもしれないが、才能のある選手だけにより高いレベルのパス精度を要求したい。
■食野亮太郎(リオ・アヴェ/→後半38分OUT)=★★★★
前回の試合では途中出場からストライカーとしてのプレーを見せていたが、今回は2列目の右で起用され守備を含めて様々な役割をこなした。サイドアタッカーとしても計算できる存在であることを示した一方、本質的にはFWの選手であり得点に絡むことが期待される選手。そうした部分では、アタッキングサードで決定的なプレーを見せることができなかった。
■板倉 滉(フローニンゲン)=★★★★★
第1戦でバルガスに体をぶつけられてバランスを崩し、クロスを上げられてガイチにヘディングシュートを叩き込まれたシーンは本人にとって相当悔しかったはずだが、その思いを、ボランチとして出場したこの日のピッチ上ですべてぶつけた気がする。闘う気持ちを見せ続け、アルゼンチン相手に一歩も引かずにやり合ったことで、コンビを組んだ田中碧もすごく楽になっただろう。高さがあって足下も上手く、CKからヘディングで2ゴールを決めた。久保のボールが良かったのはもちろんだが、アルゼンチンのセンターバック2人に打点で勝ったというのは凄かった。センターバックとボランチの両方をこなせることも含め、A代表へのアピールにもなる活躍だった。
■田中 碧(川崎フロンターレ)=★★★★★
想像を超える快勝劇を呼び込んだ立役者の1人。お互いが潰し合うタイトな局面で、相手を背負った状況でも正確にボールをコントロールし、きっちりボールを配球できる田中碧の能力は単純にアルゼンチンを超えていた。ボールの支配力とコントロール、パス精度、いずれも頼もしい限り。もちろん多少のミスはあったにせよ、田中碧が中盤で主導権を取ったことでアルゼンチンも相当激しく来ていた。それこそ南米強豪が認めるほど、この日のゲームを変える存在だったということだろう。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。