「久保の創造性」に東京五輪“優勝候補”も苦心 英記者が“共鳴できる”FW不在を指摘
アルゼンチンに0-1で敗戦も…久保が「日本を勇気づけるようなパフォーマンス」
東京五輪世代のU-24日本代表は26日、東京スタジアムで行われた国際親善試合のU-24アルゼンチン代表戦に0-1と惜敗した。日本は何度か良い形を作るものの南米予選1位の牙城を崩せず。前半21分にFWアドルフォ・ガイチに決められた1点が、最後まで重くのしかかった。かつてAFC(アジアサッカー連盟)の機関紙「フットボール・アジア」編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、20年以上にわたってアジアサッカーを追う英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、南米の強豪相手にも創造性を発揮したMF久保建英(ヘタフェ)の意図を感じ、連動できる1トップが不在だったことを最大の課題に挙げている。
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久保建英は90分間にわたって、アルゼンチンDF陣を悩ませ続けた。久保の創造性を生かせるFWが日本の前線に存在したならば、結果は大きく変わっていただろう。
惜敗だが、1年ぶりの年代別代表戦には好材料が多かった。もしかすると、東京五輪の延期は森保監督に追い風となるかもしれない。そんな予感がする一戦だった。
昨年の五輪代表は、タイで開催されたU-23アジア選手権の時には悲惨で、かなりの無秩序状態にあるように見えた。海外でプレーするタレントの不在が大きかったが、選手層と呼べるほど使える選手が監督の手もとには少なかった。戦術を成立させることも困難な状況だったが、今回は違った。
抜群のキレを見せた久保が強力なアルゼンチンを相手に、日本を勇気づけるようなパフォーマンスを見せた。東京五輪が今夏開催されるのであれば、これは楽観的になれる部分だろう。
久保、三好康児(アントワープ)、三笘薫(川崎フロンターレ)によるポゼッションは少なくとも今後に期待を抱かせるものだった。堂安律(ビーレフェルト)の存在なしでも、日本の2列目のラインナップは、指揮官にとって悩ましい選択肢となったのではないだろうか。
だが、大きな問題がある。センターフォワードだ。前日に行われたA代表の韓国戦(3-0)で大迫勇也(ブレーメン)が示した特殊技能は、現時点で田川亨介(FC東京)の背には余りあるものだ。アルゼンチン戦では1トップというタスクの達成度を見ると、圧倒的に足らなかった。久保の意図を察知する能力が足りない。久保が生み出したスペースを、本職の1トップならそれを生かして、ゴールを狙える場面が幾度かあったが、田川は残念ながら気づかなかった。
途中出場の食野亮太郎(リオ・アヴェ)も、その役割を担えないことを示した今、五輪本大会を指揮する森保一監督は「1トップ不在」という命題に向かうことになる。大迫がオーバーエイジ枠で招集できれば、それが最良の解決法となるのだが。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。