“金メダル候補”から受けたレッスン 「U-24アルゼンチン戦出場15人」を金田喜稔が採点
東京五輪・南米予選1位の強豪に惜敗、三笘に対する守備はアルゼンチンが認めた証拠
東京五輪世代のU-24日本代表は26日、東京スタジアムで行われた国際親善試合のU-24アルゼンチン代表戦に0-1と惜敗した。日本は何度か良い形を作るものの南米予選1位の牙城を崩せず。前半21分にFWアドルフォ・ガイチに決められた1点が、最後まで重くのしかかった。新型コロナウイルスの影響により様々な制限があるなかで行われたが、“金メダル候補”との一戦を識者はどのように見たのか。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表や年代別代表を見てきた金田喜稔氏が、この試合に出場した全15選手を5段階(5つ星が最高、1つ星が最低)で評価した。
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<FW>
■田川亨介(FC東京/→後半33分OUT)=★★★
前線からの体を張ったディフェンスや追い込み、攻撃時にはボールを引き出し、ダイアゴナルにも走る。前半32分には強烈なシュートも放った。いろいろな部分で平均点以上のパフォーマンスを見せ、コンディションの良さも感じさせた。一方で1トップとして、アルゼンチンのセンターバック2人を相手にチームとしての連動性が乏しいなかでポスト役をこなすのは酷な部分もあっただろう。得点を奪えれば「4」を与えられるパフォーマンスだった。
<MF>
■三笘 薫(川崎フロンターレ/→後半21分OUT)=★★★
Jリーグで圧倒的なパフォーマンスを見せている三笘は、ドリブラーとして試合前から大きく期待されており、見せ場を作れなかったこの試合の結果を受けて「そんなものか」と見ている人もいると思う。だが、三笘に対してアルゼンチンがあれだけ縦を切り、横から体ごとぶつける守備をしてきたのは、彼の能力を認めた証拠。三笘のドリブルが国際的にも通用する武器であることは間違いないだろう。ただ自陣で不用意に仕掛けたり、中途半端なプレーでボールを失うシーンが2回くらいあった。Jリーグならいける場面でも、やはり世界強豪の間合いは近いし、激しく足下にくる。そうした状況を素早く察知して無理と判断し、別の選択肢を持つことが今後は求められるだろう。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。