日韓戦で浮き彫りになった“左サイドバック問題” 快勝劇に潜む悩ましい人材難
長友に続く存在がいない左SB、新たな候補者の台頭が求められる
もとより、左サイドバックの人材難は悩ましい問題。それが今回の日韓戦であらためて浮き彫りとなった。コートジボワールとカメルーンのアフリカ勢と戦った昨年の10月シリーズでは安西幸輝(ポルティモネンセ)がテストされたが、1対1を含めた守備対応に課題を残すなど、長友佑都(マルセイユ)に続く存在にはなり得ていない。
そもそも現代のサイドバックは過酷である。世界のトップレベルを見渡すと、対峙する相手は高い技術と破格のスピードを兼ね備えたモンスターばかりだ。守備では彼らとの1対1にさらされ、攻撃では従来の外回り(縦への攻め上がり)のみならず、内回り(ハーフスペースからの裏抜け)や中盤の一角として振る舞うように求められるケースまである。
長友が使えない場合はどうなるのか。昨年の10月シリーズでは3バックに変更し、原口元気(ハノーファー)を左ウイングバックに据えて急場をしのいだ。左利きに目を向けるなら、U-24日本代表でボランチを主戦場とする中山雄太(ズウォレ)という選択があるものの、スピード対応への不安がないわけではない。
この先、東京五輪世代の旗手怜央(川崎)など新たな候補者の台頭が求められる。国内組を主体にした韓国を蹴散らしたところで、この“左問題”は片づかない。モンゴル退治(カタール・ワールドカップ・アジア2次予選)に支障はないとしても……。
(北條 聡 / Satoshi Hojo)
北條 聡
1968年生まれ。Jリーグ元年の93年にベースボールマガジン社に入社し『週刊サッカーマガジン』編集部に配属。日本代表担当として2002年日韓W杯などを取材した。04年から『ワールドサッカーマガジン』編集長、09年から『週刊サッカーマガジン』編集長を歴任。13年にフリーランスとなり、現在は様々な媒体で執筆している。