日韓戦、勝負のカギは“ボランチにあり” 元日本代表MF福西崇史が推すコンビは?
現役時代に日韓戦を2度経験、福西氏が語る「ボランチ視点」の見どころ
日本代表と韓国代表が激突する「日韓戦」が、いよいよ25日に日産スタジアムで開催される。日韓戦は2019年12月に韓国で行われたE-1選手権以来だが、国内で行う国際親善試合としては実に10年ぶりと、サッカーファンにとっては注目の一戦となる。リアルタイムスポーツ実況アプリ「GayaR」(ガヤール)で、この試合を「ボランチ視点」で解説する元日本代表MF福西崇史氏に、今回の日韓戦における同ポジションの見どころを語ってもらった。
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森保一監督がボランチに求めているものは、まずは守備ではないかなと思います。一言に守備と言っても、べったりと引いて守るわけではなく、ボールを奪ってからさらに攻撃につなげたり、ショートカウンターの起点になれるか、そうしたことが役割として求められていますし、誰が出てもやらないといけないことになっている印象です。そして、チームのバランスを取ること、どれだけビルドアップに加われるかの勝負になると思います。
ボランチを2人起用する場合、互いに能力を補える感覚があるほうが良いでしょう。例えば、どちらかがどっしりと守れる選手の場合、もう1人は動ける選手にすることが僕の理想です。ただし、相手との力関係も考えなければいけません。相手がボール保持力に優れているのであれば、守備的な動ける選手を2枚並べるのも手になるでしょう。それは森保監督が決めることになりますが、中盤にアンカーを1人置いて3人にする場合でも、ボランチを2人にする時でも、互いに協力できて、良い面を出し合えるようにすることが重要だと思います。
現在、日本代表のボランチは、柴崎岳(レガネス)と遠藤航(シュツットガルト)のコンビがレギュラーの座を掴みつつあります。しかし、今回は柴崎が招集されていません。これは他の選手たちにとっては森保一監督にアピールする絶好のチャンスですし、その意気込みを見せてくれるはずです。
ボランチで注目したい選手の1人が、昨シーズンのJ1リーグ制覇と天皇杯優勝を置き土産に、川崎フロンターレからポルトガルのサンタ・クララへ移籍した守田英正です。彼が出場したら、海外移籍したことで個人の能力やメンタル面が、どれだけ上がったかに注目して見てください。
守田がサンタ・クララに移籍したのは今年1月。まだ2カ月ほどしか経っていませんが、その短い期間でも選手はかなり変わります。海外移籍をする日本人選手というのは、それまで所属していたJリーグクラブで、ある程度の余裕を持って練習でプレーできていたはずです。
しかし、海外に行けば周囲のレベルは高くなり、球際も強くなります。さらに助っ人外国人選手として違いを示し、チームを勝利に導かなければいけない立場にもなるのです。そうした環境に身を置くことで、選手は短期間でも飛躍的に成長します。
今回、海外組として初めて日本代表に招集されて、時差の影響もあると思いますが、それは代表選手の使命です。僕らの時代に海外でプレーしていた選手たちも、代々、日本で代表戦が行われる時は苦労していました。そこでどれだけできるかが、彼の今回のテーマであり、今後、代表に定着できるかどうかの大事な部分になるでしょう。