- HOME
- 今日のピックアップ記事
- 最後方から勇気を与える声 偉大な父と同じオーラをまとうレスター流転の守護神シュマイケルの凄みとは
最後方から勇気を与える声 偉大な父と同じオーラをまとうレスター流転の守護神シュマイケルの凄みとは
アーセナルとの敗戦で輝いた同志愛
GKは自分自身の身体を大きく感じさせられれば、シュートを打つ相手に対して威圧感を与えることができる。それと同時に土肥氏が“プレーが大きくなった”と語った理由には、最後方から味方を支える姿勢にあるという。
「今シーズン、カスパーで印象に残っているのは、実はアーセナルと戦って敗戦した試合でした。アーセナルにホームでもアウェーでも負けてしまったんですけど、チームが劣勢になっても最後方から闘う気持ちを見せ続けたんですよね」
多くのビッグクラブを撃破してきたレスターだが、アーセナルには第7節でホームながら2-5の大敗、第26節では敵地で終了間際に決勝点を許して1-2の逆転負けを喫した。土肥氏はカスパーがショッキングな負け方にも下を向かなかったことに、GKとしての芯の強さを感じたという。また、チームメートを守るための熱いハートの持ち主であることにも触れている。
「例えば味方DFにコーチングをしてる最中に、かなり遠い位置にいたチームメートが相手FWと衝突したシーンがあったんですよ。そうしたら相手に向かって一目散にスプリントして『お前、ウチの選手に何してくれてるんだ!!』と思い切り抗議していたんです。そういった姿勢は味方にとって心強い。そういう所作が自然とGKとして守る時のオーラにもなるんですよね」
GKとしてのオーラは、カスパーが歩んだ紆余曲折のキャリアによって身につけられたものだとも土肥氏は指摘する。
「シティではダメな時期があって、ジョー・ハートにレギュラーを奪われた。シティだけでなく移籍したクラブ、そしてレスターで苦い経験を積み続けてきた。だからこそ、チーム全体を鼓舞しようという気持ちを持ち続けられているのだと思います」
流転の末にレスターでは絶対的な守護神となったカスパーは、父親の跡を継ぎ、デンマーク代表の守護神を務めるまでに成長した。ちなみにデンマーク代表は6月に日本で行われるキリンカップに出場する。岡崎との“レスター対決”は大きな見どころになるかも知れない。
【了】
茂野聡士●文 text by Satoshi Shigeno
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images