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最後方から勇気を与える声 偉大な父と同じオーラをまとうレスター流転の守護神シュマイケルの凄みとは
元日本代表GK土肥氏が見たデンマークの父子鷹
プレミアリーグ史上、いや世界のサッカー史に残り続けるだろう「おとぎ話」が現実のものになろうとしている。昨季チャンピオンシップ(2部)降格危機に瀕していたレスター・シティが奇跡のリーグ優勝に大きく近づいている。「日の目を見なかった男たち」と日本代表FW岡崎慎司が語るほど、世界的な知名度を持たない叩き上げの集団だが、ピッチ上で見せる鉄壁の守備からの高速カウンターはプレミアの強豪を圧倒しているが、レスター旋風実現には、守護神の存在感が大きかったという。
「カスパーが、最後方から大きな声で勇気を与え続けていますよね」
かつて日本代表のGKとしてもプレーしたJ2東京ヴェルディのGKコーチを務める土肥洋一氏はこう語った。
レスターで守護神を務める男の名はカスパー・シュマイケル。現在29歳のカスパーはマンチェスター・シティでプロとしてのキャリアを歩み始めたが、その後はイギリス国内のクラブを転々とした。スコットランドリーグからウェールズのクラブ、イングランド3部のクラブでプレーしたこともあった。2011年にレスターに移籍し、弱小の頃からチームを支えてきた主力の一人だ。
現役時代は日本代表として06年ドイツ・ワールドカップのメンバーにも選出された土肥氏も、今季の欧州サッカーで注目し続けてきたGKの中で、カスパーの働きを讃えている。
「今興味があるのは、レスターでビッグセーブを連発している“シュマイケルの息子”のカスパーですよね。じっくりと見ていると、お父さん譲りの部分があります。お父さんは(マンチェスター・)ユナイテッドで黄金時代を築いて、カスパーもレスターでプレミア優勝を果たした。これはGKとして本当にすごいことですよ」
土肥氏も口にした通り、カスパーは“シュマイケルの息子”という呼ばれ方をされることが多々ある。カスパーの父、ピーター・シュマイケルはマンチェスター・ユナイテッドで長年にわたってプレー。190cmを超える堂々たる体躯と俊敏なセーブ、そして最終ラインを鼓舞するコーチングで当時のアレックス・ファーガソン監督から絶大なる信頼を得た。デンマーク代表として1992年に欧州選手権優勝も果たしている。当時「世界ナンバーワン」と呼ばれたピーターの存在感には、現役生活の土肥氏も目を奪われていたようだ。
「父親のピーターを同じGK目線で見たとき、圧倒的にすごいと感じていました。一方でカスパーに関しては最初“何か、シュマイケルに似ているヤツがいるな”というくらいの第一印象で、その後息子だと気づくことになりましたが(笑)。シーズンを経るごとにGKとしてのオーラを身につけて、プレーのスケールが大きくなっている印象があります」