韓国代表GK、“Jリーグ進出”の先駆者が貫く覚悟 「助っ人としての使命を担っている」
C大阪加入当時よりも「少しずつ衰えを感じるところはある」
ただ、キム・ジンヒョンは2019年を最後に代表に招集されていない(※取材後に3月25日の日本戦に向けた韓国代表に招集された)。韓国内の一部報道では「引退を示唆」する発言が取り上げられたが、「代表を引退するとはまだ一度も話していないんです。しかし、後輩たちに(代表のポジションを)譲っていきたいという気持ちがあるのは確かです。ただ、(現役を)引退するまでは、代表としてプレーするという気持ちは持たないといけない。招集されないのは自分の実力が足りないということ。そういう意味では、今もセレッソでの練習とプレーに集中して、ベストを尽くしたいという気持ちが強いです」と話す。
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韓国代表GKの競争は激しい。キム・ジンヒョンは2012年2月のスペイン代表との親善試合でAマッチデビューを果たし、2015年にオーストラリアで行われたアジアカップでは準優勝に貢献するなど、代表でも頭角を現していた。
しかし、2018年ロシアW杯で正GKとして出場したチョ・ヒョヌ(蔚山現代)やキム・スンギュ(柏レイソル)、ク・ソンユン(金泉尚武)など、能力の高い選手も多く、競争の激しいポジションでもあった。徐々に代表では控えGKとしてベンチを温めることもあり、年を重ねるにつれて、代表とチームを天秤にかけた部分もあるだろう。
それにベテランの域に達した今、この先のサッカー人生に不安がないわけではない。
「セレッソに加入した当時よりも、少しずつ衰えを感じるところはあります。サッカー選手をいつやめるのか。そういう考えも時に頭の中でよぎることもありますが、最後まで終わってみないと分からない部分ですよね。とにかく今は自分のコンディションをしっかりと作り、最後までベストを尽くすことが自分の目標です」
それでもなおキム・ジンヒョンは、チームに必要とされる存在だ。試合に出続ける秘訣はあるのだろうか。
「長くピッチに立つのに、秘訣なんてありません。とにかく一生懸命、頑張るしかないということ、毎日の練習にベストを尽くすことです。それ以外にありません。自分が誰かに教える技術を持っているわけでもありませんから。1日1日ベストを尽くしてきたからこそ、今の自分がいるのだと思います」
日々の努力が実を結んだ結果が、現在のキム・ジンヒョンの姿ということだ。そして自ら、こんな話を切り出した。
金 明昱
1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。