J2長崎の新スタジアム建設が本格始動 街づくりと一体、民間企業が目指す“世界観”
Jリーグの理念に則った「長崎スタジアムシティプロジェクト」とはどんな計画なのか
昨年12月に基本設計が完了したV・ファーレン長崎の新しいホームスタジアムの建設が、いよいよ始まる。JR長崎駅から北に徒歩約10分、三菱重工造船所の幸町工場跡地に2024年の完成を予定している。このプロジェクトは、単にサッカー専用スタジアムを作るという話ではない。スタジアムを中心とした街づくり、すなわちスポーツで街を活性化する地域創生を目指すものでもある。『長崎スタジアムシティプロジェクト』とは、いったいどんなプロジェクトなのだろうか。
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「サッカーは勝っても負けても、普段は味わえない感動とか悔しさとかを感じられる。そんなサッカーが好きで、このプロジェクトに関わりたいと思いました」と語る、同プロジェクトの戦略を担う株式会社リージョナルクリエーション長崎の折目裕さんに話を聞いた。
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「長崎スタジアムシティプロジェクトは『長崎を元気にしたい』『楽しさを提供したい』という思いのもと、立ち上がったプロジェクトです。もともと親会社のジャパネットには『“今を生きる楽しさ”を!』という理念があるのですが、スポーツは楽しさや感動を与えられるコンテンツです。ですから、スポーツを中心としたスタジアムシティを作ることで、長崎全体を感動に包むことができるし、元気にすることができるんじゃないか。これは、そんな思いが込められたプロジェクトなんです」
V・ファーレン長崎をグループ会社に持つ、株式会社ジャパネットホールディングスが2018年、地元・長崎のためにスタートさせたのが長崎スタジアムシティプロジェクトだ。2019年には同プロジェクトを行うため、株式会社リージョナルクリエーション長崎を設立。V・ファーレン長崎の新スタジアムを中心とした街づくりを目指している。
なぜ、街づくりを目指すのか。
「サッカーの試合は年間で約20試合ほどしかありません。ということは、残りの約340日間はスタジアムは使われていないことになります。スタジアムだけを作っても収益化を図ることも、街を活性化することも難しい。そこで、必要になってくるのが賑わいです」
スタジアム建設費を年間約20日しか使用されないスタジアムの稼働日だけで回収することは現実的ではない。そこで、周辺に他の用途を生み出すことで、年間を通した賑わいを得ることができるのではないか。サッカーの試合が開催されない日でも収益性が見込めるのではないか。その結果、スタジアムを中心とした街づくり、すなわち『スタジアムシティ』という考え方に至った。
構想から約2年、昨年12月にようやく基本設計の完了が報告されたが、当初の計画からは大きく変更された点があった。それがアリーナの建設だ。
「プロジェクトを進めていくなかで、より『日常的な賑わい』を生みたいと考え、当初の計画にはなかったアリーナ建設が追加されることになりました。5000人以上を集客できる規模のアリーナはバスケットボールやコンサートといったイベントも開催できるので、アリーナ自体の稼働日数も増やすことができますし、新たな集客装置になるのではないかという判断でした」
アリーナ構想から生まれたのが、新たなアリーナをホームとするプロバスケットボールチームだった。チーム名は2000件を超す一般公募のなかから、最終的に『長崎ヴェルカ』に決まった。
「バスケットボールのプロリーグ、Bリーグは2015年に開幕。エンターテイメントとの親和性も高く、あまり知られてはいませんが、長崎県内の競技人口も多いことからマーケット的にもこれから発展性が見込めるスポーツだということで、アリーナのメインコンテンツはバスケに決まりました。サッカーのシーズンは2月から12月、バスケのシーズンは10月から5月のため、同じ場所で年間を通してプロスポーツを見て楽しんでいただけるのは、V・ファーレン長崎と長崎ヴェルカをグループ会社に持つ強みだと思っています」