奈良クラブ社長、“逆風”からの立て直し 売上半減のなか描く未来図には「1.8億円必要」

「他の事業が育っていなかった」、スポンサー売上激減で新たな事業を開拓へ

 奈良という土地柄での苦悩もある。

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「奈良の人は大阪や京都、神戸へ行くことに対してハードルが低い。隣町に行く感覚で大阪や京都、神戸に行くので、(スタジアムがある)鴻ノ池や橿原までサッカーを見に来るのはなかなか足が向かない。でも僕らの場所は奈良。奈良を理由にはしたくない。だからこそ、それでも人が来たくなるようなクラブにしていかないと、というところで戦っている」

 そのうえで、新たな事業も開拓する。スポンサー売上が大幅に減少したことを受け、“2本目の柱”として「活動拠点づくり」を構想する。県内にチームのクラブハウスを併用したグラウンド、合宿場、寮、カフェ施設を作る予定。人工芝2面のプランで、トップチームだけでなく、アカデミーやバルサアカデミーも活動する。

「僕自身、Amazing Sports Lab Japanで育成をやりながら黒字を継続していて、サッカー事業で黒字にすることは得意。一方で、奈良クラブの売上を見ると9割がスポンサー売上で、他の事業が全然育っていなかった。そこでグラウンドを作って、『拠点づくり事業』として回すことにした。大体(費用は)4億円ぐらい。売上高は何年かかけて(年間)1億円ぐらいにまで持っていけると思っている。バルサキャンプやU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの予選なども行うつもり」

 浜田社長が推し進める拠点づくりは、別の目的もある。拠点をつくり、利用者を増やすことでスポンサーを呼び込み、ビジネスにつなげる。人々の生活に溶け込むことで持続的に“教育”を行っていく。

「奈良クラブは地域のハブになりたい。奈良クラブが貢献できるのは将来奈良に貢献できる人の教育かなと思っている。拠点をハブに地域の人が関わり、子どもたちがたくさんの経験をしたりして教育する。バルサに関わる選手や、奈良に関わる選手がいろいろな取り組みのなかで育つことで、将来は実践できる大人になって、奈良に戻って来て、地域をいい形で発展させるようなマインドを持ってほしい。ここ(拠点)で国際交流や地域とともに生きていく仕組みにしたり、働く人が見えるようにしたり、多世代がここでコミュニケーションをとってほしい。それがたまたまサッカーグラウンドというコンセプトで事業としても回る仕組みを構築したい」

 浜田社長は「教育に大切なのは1人に対して真摯に関わる人数を増やすこと」と考え、拠点づくりのなかで「SDGs(持続可能な開発目標)に貢献していきたい」と意気込む。大逆風のなか、Jリーグの舞台へ立つため、必死に立て直してビジョンを描く。新たな拠点構想は奈良クラブにとって、明るい未来となるはずだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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