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奈良クラブ社長、“逆風”からの立て直し 売上半減のなか描く未来図には「1.8億円必要」
【浜田満社長インタビュー|第2回】前社長時代の2019年に水増し問題が発覚…逆風のなかで就任
Jリーグ入りを目指すJFL奈良クラブの浜田満社長は今季、就任2年目を迎えた。前社長時代の2019年に観客数水増しが判明し、逆風のなかで就任した浜田社長は、自身がプロデュースするバルセロナキャンプで当時8歳のMF久保建英(ヘタフェ)を“発掘”した経歴の持ち主で、これまで様々な施策を打ってクラブの立て直しを図っている。現在は新たな事業で経営の“柱”を作るべく、新プランを打ち出している。(取材・文=Football ZONE web編集部・小杉 舞)
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「観客数の水増しとその後の対応のまずさによってメインスポンサーが2つだけでなく、かなりのスポンサーとの契約が更新できなかった。僕が就任した時はスポンサー、サポーター、メディアなどあらゆる人たちの信頼を失っている状態で、大逆風。そして、就任2カ月後から新型コロナウイルスでとどめを刺された感じ。でも、本当にどん底で、上に行くしかないという状況だったので、ある意味やりやすい部分はあった。それでも、経営的にはやはり、売上が半分というのは非常にシビアだった」
2019年、衝撃的な事実が明らかになった。J3ライセンス取得のために規定がある観客数。「入会直前年度のJFLのリーグ戦に置ける1試合平均入場者数が2000人を超えており、かつ、3000人に到達することを目指して努力していると認められること」(Jリーグ規約第15条第3項)が条件となるなかで、観客数の水増しが判明した。前社長が退任し、立て直しのために任命されたのが浜田社長だった。
株式会社Amazing Sports Lab Japanの社長を務め、バルセロナキャンプやU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジのプロデュースも行う。2009年以降は同キャンプでMVPを獲得した久保をサポートしていた。そんななか奈良クラブの社長に就任。「大逆風」からのスタートで多くのスポンサーが離れた。売上にすると3億円から1.5億円に。昨季、そして今季も厳しい現実が待ち受けている。
「経費を削ることは難しい。売上が半分近くになったからと言って、スタッフ、選手の給料を半分なんてことはできない。現実的に人件費、経費とも10~15%下げるのが限界。去年は強化費、人件費はそのままで、経費を20%ぐらい下げた。今年は強化費、人件費も15%下げ、経費はさらに10%ぐらい下げる。すでに限界値。これ以上下げると、マネジメントに大きく影響するので、経費削減による改善はここまで。そうなると、売上を伸ばさないといけず、現在の運営レベルで(J3に)昇格できるようなチームをつくるためには(売上)1.8億円が必要」
まずは観客動員、ファンを増やすこと。前社長時代はスタジアムグルメやイベントを充実させ、きっかけ作りに励んだ。だが、一方でコストがかさみ、スタッフへの負担も大きかった。そこで、今季からは一貫してサッカーそのもの、そしてクラブの在り方そのものに照準を当てる。
「ファンを増やすことは難しくて、例えばきっかけはいろいろあるけど、関心がない人はチケットをタダでもらっても行かない。スタグルを充実させたり、イベントをすると、もしかしたら1回は来てもらえるかもしれない。でも、我々の商品はピッチ内。だからピッチ内の質を高める必要があって、奈良クラブのサッカーが面白いという評判から、『学びたい』とか『面白いから見に行きたい』とかそういう人を増やせるか。スタグルやイベントを含め、優先順位を整理したうえでサッカーそのものが面白いから地域のサッカーファンが来てくれる、指導者に勉強に来てもらえるという状況にしていきたい」