“新守護神”権田、神がかり的セーブ連発 清水が「シュート1本」で掴んだ勝ち点1の意味

今季から清水エスパルスでプレーするGK権田修一【写真:Getty Images】
今季から清水エスパルスでプレーするGK権田修一【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】絶好調の鳥栖相手に3-5-2採用、「失点をしない」サッカーで0-0

 第3節を終えた時点で1勝1分1敗の勝ち点4。スタートダッシュを期待していた清水エスパルスのサポーターには、少し物足りない成績かもしれないが、それでもミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督が就任し、約半分の選手を入れ替えた新チームとすれば、試合内容も含めてそこまで悲観するものではないだろう。ただ、開幕3試合での失点数は「5」。守備の構築をしているなかで、第2節アビスパ福岡戦(2-2)、第3節セレッソ大阪戦(1-2)と複数失点を喫している。指揮官も「勝つためには失点をしないことが大事」と話し、この第4節にどのような戦術で臨むのか注目していた。

 対戦相手は開幕以来、唯一無失点試合を継続し、3連勝と絶好調のサガン鳥栖。昨シーズンの主力であったDF森下龍矢(→名古屋グランパス)、MF原川力(→C大阪)、そしてMF原輝綺(→清水)などが移籍したが、DFファン ソッコ(←清水)やGK朴一圭(←横浜F・マリノス)らを完全移籍で獲得した。昨季からの積み上げを進めるなか、19歳MF松岡大起と17歳DF中野伸哉が主力として躍動するなど、若き下部組織出身者が好調なチームを支えていた。

 清水は鳥栖が前節のベガルタ仙台戦(5-0)で圧勝していることもあり、「失点をしないこと」を大前提と考え、これまでの4バックではなく3バックを採用。守備時には5バックとなるシステムを選択し、この試合に臨んだ。ここまで公式戦の全試合に先発出場していた「ロティーナサッカーの申し子」と言われているDF片山瑛一が前日練習で右ハムストリングス肉離れとなり、その後の検査で全治4週間と診断されたため、この試合では初のメンバー外となった。3バックの採用はその影響もあったのかと思われたが、片山の離脱とは関係なく、たとえ片山が出場できたとしても鳥栖の攻撃を防ぎ失点をしない最良の形が3-5-2であり、5-3-2ということであったようだ。また、ここまではFWチアゴ・サンタナの1トップであったが、FWカルリーニョス・ジュニオと2トップを組ませて鳥栖のディフェンスを崩す思惑もあった。

 前節の鳥栖が3バックだったため、ロティーナ監督がミラーゲームを仕掛けようと同じシステムにしたのかは分からないが、逆に鳥栖は基本的には4バックでスタートし、状況によって3バック、そして2バックで対応していた。ただ、両チームともシステムにはあまり拘らずにその状況に応じた立ち位置を取る形ではあったが、昨年からの積み上げのある分、鳥栖がこの試合では一日の長があった。清水は劣勢に回ることが多く、シュートも後半6分のCKからのカルリーニョスの1本に抑え込まれる展開となった。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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