奈良クラブ、「カタルーニャ流」でJ昇格へ “久保発掘”社長がスペイン人体制に託す未来
【浜田満社長インタビュー|第1回】就任2季目で指揮官含めスペイン人3人を招聘
奈良からJリーグへ――。JFL奈良クラブの浜田満社長が「Football ZONE web」のインタビューに応じた。8歳の頃、バルセロナキャンプに参加したMF久保建英(ヘタフェ)を“発掘”した浜田社長は今季で就任2年目。2019年に観客数水増しが判明し、逆風のなか様々な施策を打って立て直しを図っている。今季からはスペイン人のフリアン・マリン・バサロ監督を招聘。その理由を明かした。(取材・文=Football ZONE web編集部・小杉 舞)
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「僕自身、17、18年ほどスペイン人と仕事をしてきた。スペイン人の働き方を熟知していることが一つ。そのなかでもカタルーニャには、信頼できるコーチ陣がいた。バルサのコーチをはじめ、バルセロナ地域の指導者を100人は知っているけど、信頼できる人たちはそんなに多くなくて、この人たちに任せれば間違いないという人たちにお願いした。僕自身も現場でも通訳などをしてきたなかで、そのなかでも一番質の高かった人たちを引っ張ってきた」
株式会社Amazing Sports Lab Japanの社長を務め、バルセロナキャンプやU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジのプロデュースも行っている浜田社長。2009年以降は同キャンプでMVPを獲得した久保のサポート(2017年まで)も行い、バルセロナとのつながりも深い。そのなかで昨年、地元の奈良クラブ社長に就任。林舞輝監督(現・浦和レッズ分析担当コーチ)率いるチームは、昨季JFLを13位で終えた。今季は自身の人脈を使って、パリ・サンジェルマン、タイサッカー協会、アルビレックス新潟ともパートナーシップを結ぶサッカーサービス社のスペイン人監督である、フリアン監督を含め3人招聘した。
オリオール・フェルナンデス・ペイス氏はフィジカルコーチ、ダリオ・ロドリゲス・マンチャ氏がメソッド部門のダイレクターを務める。現在、監督とオリオール氏はいまだ来日できず。フリアン監督がスペインから“遠隔”で指揮を執り、山梨のプロ選手養成アカデミーであるアメージングアカデミーで2021年1月まで指導していたダリオ氏が現場でトレーニングを行っている。そのなかで、目指すサッカーはやはり“バルサ・スタイル”だ。
「去年のサッカーと比べると別のチーム。全く違う。カタルーニャのボールを保持しながらピッチの中に選手をバランスよく配置させるポジショナルプレーで、それぞれのゾーンの中で良い立ち位置をとってボールを失わないプレーを展開する。ボールを失った時のスピードを極限まで高めつつ、素早く取り返す。守備時は、下がる守備ではなく、前に行く守備をとることで、ディフェンスラインが高く設定されるサッカー」
フリアン監督とは2011年からパートナーである、サッカーサービス社との仕事の中で関係を築き上げた。サッカーサービス社は個人技術のカギを指導し、選手の能力を引き出す“エコノメソッド”を世界中で展開。サッカーを理論で語るだけではなく、現場に落とし込み、ピッチで再現する能力を持ち合わせている指導者であることが招聘の理由だ。