「自分はなにやってんだ」 日本一の広島ユースで“10番”、病に冒された20歳の今
病院、大学スタッフに寄り添われ、復帰へと漕ぎ着ける
「皆と自分を比べても意味がない」。桂は腹を括った。
「僕は身長が162センチと体格に恵まれているほうではないんですが、それでもプロで活躍できるんだっていう夢や希望を与えられる存在になりたいなとずっと思ってきたので、もう一度復帰して、やってやろうっていう気持ちしかなかったです」
病気の治療は、食事療法、薬の処方、超音波施術と多岐にわたり、定期的に通院しながら病と向き合った。そんな桂を、病院のスタッフたちは温かく見守ってくれたといい、不安に駆られていた若者の背中をそっと押してくれた。
「担当医の中にサッカー好きな先生がいて、自分のことを知ってくれていたんです。その先生がずっと励ましてくれるんですよ。『大丈夫だから』って。落ち込んでいても前向きな声をかけてくれるスタッフが何人もいたので、通院が苦ではなくなりましたし、コロナで本当に大変だったとは思うんですけど、そういう姿を一切見せずに接してくれて本当に感謝しかないですね」
治療の甲斐あって、昨年9月にはトレーニングへ復帰。通院との兼ね合いから、大学の授業が終わってすぐに始まるトップチームへの参加は時間の関係で難しかった。そんな様子を見て、トップチームの後に練習を始めるセカンドチームへの参加が許されたのだ。
監督やスタッフの協力を得て、コンディションは見る見るうちに上がり、12月にはセカンドチームで約1年ぶりとなる公式戦出場を果たした。
「今日ピッチに帰ってくることが出来ました! 沢山の方に支えられてここまで来ることができました。こっから這い上がっていきます」
大好きなサッカーができる幸せを噛み締めつつ、自らに寄り添ってくれた人たちへの感謝の思いを、桂はツイッターに綴った。