イジメの過去を乗り越え、殊勲のCL決勝弾の新鋭に闘将シメオネが伸び代断言!「まだ成長過程だ」

CL決勝進出に指揮官自信「この勝利でチャンス」

 10代の頃から世代別代表に選ばれているサウールだが、12歳でアトレチコの下部組織と契約するまで1年間苦しみの日々を過ごした。

 「(レアル)マドリードでは多くを学んだ。大きく成長できたんだ。あれは困難な1年だった。なぜならサッカーとは関係のない出来事があまりにも多く起きた」と地元紙のインタビューで語っていた。11歳の時にエルチェからレアル・マドリードの下部組織に移籍。1年間過ごしたが、陰湿なイジメに一年間地獄の日々を過ごした。

「スパイクやお弁当を盗まれた。無実の罪でバルデベバス(レアルの練習場)に二週間、立ち入り禁止になった。彼らは僕が書いたと称した偽の手紙を監督に送ったんだ。自分はやっていないと主張したんだけど、ね」

 レアルでの1年間容赦ないイジメの末、ライバルのアトレチコの下部組織に移籍した。ラージョ・バジェカーノでの武者修行を経て、鉄の掟を持つシメオネ軍団の主力へとたくましく成長している。そのため現在21歳ながら、6月に開幕する欧州選手権で3連覇を目指すスペイン代表の“秘密兵器”とも目されている。しかしシメオネ監督は評価が急上昇する新星を称賛するだけでなく「発展途上」と表現し、慢心を与えないように努めた。

 「今日の試合結果は(敵地)ミュンヘンでの試合に臨むにあたってのチャンスとなる」と闘将は続けた。ドイツ最強軍団相手に先勝するとともに、宿敵レアルにサウールという逃した魚の大きさを見せつける最高の展開となった。2シーズンぶりのCL決勝進出に向けて、欧州随一の規律に乱れはまったくないようだ。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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