3度目の正直ならず U-21日本代表は宿敵イラクの壁に阻まれて1-3で大敗
屈辱的な敗戦
またしてもイラクの壁は越えられなかった。アジア大会2戦目に臨んだ、U-21日本代表は17日、韓国・仁川のコヤン・スタジアムでイラクと対戦して1-3で敗れた。大会2戦目にして初黒星を喫した。
前半12分、一瞬のスキを突かれた。明治大DF室屋成が、右サイドからのクロスをヘディングでクリア仕切れず。そのまま相手MFナウーシュに強烈なミドルシュートを打たれ、先制を許した。
だが、後半36分、FC東京FW中島翔哉が落ち着いて同点弾を決めた。だが、後半3分にDF陣の守備の乱れから相手DFアドナンにあっさりと勝ち越し弾を許してしまう。後半27分に3点目を奪われると、ベンチの手倉森誠監督は頭を抱えるしかなかった。
新潟FW鈴木武蔵も試合前、「この年代は、2012年のAFC、U-19アジア選手権準々決勝でイラクに1-2で敗れ、U-20W杯出場権を逃した過去がある。1月のオマーンで行われたU-22選手権でも準決勝で0-1と敗戦を喫している。イラク戦では負けた時に点を取られた時の相手の顔も覚えている。3度目の正直」と、リベンジを誓っていた。だが、この日はゴール前で沈黙。同じ相手に真剣勝負の国際大会で3度も敗れる屈辱を味わってしまった。
アジア大会では韓国のアウェーの洗礼とも戦っている。新築の選手村の設備面の不備は特に深刻だ。気温25度以上で蒸し暑さの残る仁川だが、日本代表選手の居室にはエアコンが設置されていない。就寝時に暑さによる体力の無駄な消耗を避けるには部屋の窓を開けるしかないが、窓には網戸がない。蚊の羽音に安眠を妨害されながら、全身を刺される日々を送っている。鈴木の部屋の浴室は排水機能が故障し、大会側にはそれを通知したが、いまだ直っていないという。さらに、エレベーターが故障し、選手村の代表チームの居室のある22階まで選手たちは汗まみれで階段を上り下りしている。
見えない敵と戦いつつ、宿敵イラクに雪辱を果たすのは難しかったのだろうか。完敗に選手は肩を落とし、大会連覇に向けて黄色信号が灯った。2016年リオ五輪への道はまだ遠くかすんだままだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web