「新しい自分が見えそう」 田中陽子、スペイン挑戦2年目の成長を見据えた“実験”

2年目に入り体格の変化を感じている【写真:Getty Images】
2年目に入り体格の変化を感じている【写真:Getty Images】

当たり負けしなくなり、空間認知能力に磨き「空間・時間でずらして勝負できる」

 ウエルバでは加入当初から練習メニューにフィジカルトレーニングが取り入れられており、田中は個人でもジムに足を運び、体幹やパワー面を強化してきた。スペインの地にも慣れたことで、体格の変化を感じているという。

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「良いほうに変わったという実感があります。昨年は1月に怪我をする前から、コンディションが良くないと感じていました。スペインの生活にも慣れていないし、バスの移動、言葉の違い、コロナの影響……、1年目は本当に大変でした。日本ではメンテナンスを受けていましたが、スペインでは人の手を借りることができず、自分でのケアが難しくなった結果、コンディションを落としてしまって。今年は自分でちゃんとできるようになったのと、生活環境、対戦相手、毎日練習する選手にも慣れてきたかな、と。日本よりもガツガツ当たってくるので、自然と強くなっている部分もあると思います。今は週1回、Zoomで『一本歯下駄トレーニング』など様々なメニューに取り組んでいて、すべてが上向きです」

 身長157センチと小柄な部類に入る田中だが、実際のコンタクトでも体格で上回る外国籍選手相手に当たり負けしなくなった。それによって、プレーの選択肢も増えたと話す。

「体重は特に変わっていませんが、フィジカル状態が相手よりも良いと思うことが増えて、対峙した選手の強さをあまり感じなくなりました。時間に余裕ができるので、空間認知能力が変わってきたと思います。今まではボールを動かす時にマークが来ていたはずなのに、自分が早く動けているからか、少し遅れてから相手が来る感覚。体で勝負しなくても、空間・時間でずらして勝負できるようになって、納得のいくプレーができ始めています」

 田中はチャンピオンズリーグ出場を目標に掲げ、欧州のビッグクラブへのステップアップを見据えてきた。実際、同じリーグのレアル・マドリードと対戦しても、「(自分がそのなかで)プレーできないとは思わない」と現状での率直な感触を明かす。

「チャンピオンズリーグに出るチームでプレーしたいという思いは変わりません。国によってプレースタイルが違いますが、スペインの中でもいろんなチームがあって、上位チームは男子みたいにつなぐサッカーをして、下位チームはボールを蹴る、フィジカルを押し出した“闘うサッカー”。今は蹴るチームにいるので、個の力は磨けます。次は自分のプレースタイルに合うチームに行って、勝負したいです。ただ、ちゃんと現実を見ないといけないし、ここ(ウエルバ)で活躍できなければ、上には行けない。その場合はまた違う道を探して、上を目指す感じですね」

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