「全くのナンセンス」 プレミアリーグ監督、入国制限国への代表選手派遣に難色
コロナ禍により南米からの入国者は10日間の検疫義務、多くの監督が招集拒否の姿勢
英国における新型コロナウイルスのガイドラインを受けて、プレミアリーグの選手は渡航規制されている「レッドリスト」の国に代表戦のために出向いた場合、英国入りの際には例外なく10日間の検疫義務が課せられる。
FIFA(国際サッカー連盟)はコロナ禍という特殊な状況を鑑み、検疫規制の影響を受けることが見込まれる選手について、クラブの派遣免除を認める特例措置をとると発表しているなか、日本代表MF南野拓実の所属するサウサンプトンのラルフ・ハーゼンヒュットル監督を含め、プレミアリーグ指揮官らは「この状況での代表招集はナンセンス」と口を揃えている。英メディア「Football365」が報じた。
リバプールのユルゲン・クロップ監督はすでに、特例措置による選手派遣免除を受ける意向を示しているが、代表招集が保留となっている選手について質問されたハーゼンヒュットル監督もその考えに賛同。「戻る時に検疫を受けなければならない国に選手を送るはずがない。全くのナンセンスだ」とし、「最短でも2週間離脱するうえに、クラブでプレーできないなんて、そんなことは不可能。絶対にありえない」と断固反対の考えを示している。
また、マンチェスター・ユナイテッドのオレ・グンナー・スールシャール監督も、まだ話し合いをしていないとしつつも、現在チームの得点源であるFWブルーノ・フェルナンデスをレッドリストに入っているポルトガルに派遣し、主力なしで試合に臨むのは「馬鹿げている」とコメント。レスターのブレンダン・ロジャーズ監督も、「ホテルでの隔離が必要となるのを分かっていて選手を派遣したいプレミアリーグのクラブは1つもない」と語っている。
なお、リーズのマルセロ・ビエルサ監督は、クラブに決断を任せるのではなく、FIFAや各国のサッカー協会がルールを決めるべきと主張。「クラブが自分たちの意向や利益を考えることになってしまい、とても居心地の悪い状況になる。サッカーが存続されたことを考えると、とても良い仕事をしてきたと思うので、パンデミックの間に多くの難しい決断を下してきた協会などが決断をすべき」と述べた。
シーズンの佳境を迎えるプレミアリーグのクラブにとっては、回避できるのならば送り出したくないというのが本音だろう。今月後半には2022年カタール・ワールドカップの南米予選が控えるが、英国のレッドリストには多くの南米の国が入っており、プレミアの選手がプレーする姿は見られそうもない。
(FOOTBALL ZONE編集部)