湘南がコロナ禍で“地域貢献” サッカーの枠を超えて「#こんなときこそたのしめてるか」

コロナ禍でもホームタウンと一緒にできることをやる

 当然ながら、試合の中断やスタジアムの人数規制などによって収入も減り、クラブ自体も苦しい状況だった。それでも「ベルマーレとしてできることはないか」とクラブスタッフ全員で考えて行動した。

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「クラブとしても助けてほしい状況でした。だけど、我々よりももっと苦しい状況の方もいるし、このタイミングでクラブが『助けてください』というのはちょっと違うと思ったんです。そこで『#こんなときこそたのしめてるか』プロジェクトとして、我々が持つ情報発信の力や選手が持つ発信力、これまで培ってきた地域とのつながりを生かして、コロナ禍でもできることをプロジェクトとして進めていきました」

 その最たる例が「ホームタウン観光(マイクロツーリズム)応援プロジェクト」である。これは、全国にリゾート施設を展開する星野リゾートの一つ、星野リゾート界 箱根とのコラボ企画。星野リゾート界 箱根がある箱根町は、2015年に観光地の大涌谷が小規模噴火を起こしてから観光客が激減。さらに昨年のコロナ禍や台風19号の被害もあり、箱根の観光業は大打撃を受けていた。「Jクラブとして何か協力できることはないか」と考えていた時、星野リゾートの星野佳路社長がテレビで「観光業が壊滅的です」と話しているのを見た。

「テレビでは星野社長がコロナ禍で海外から日本へのインバウンドが期待できないなか、マイクロツーリズムの重要性を語っていました。地域の方々にもう一度、箱根の魅力を知ってもらいたいと。そこで我々が持つ発信力を上手く使って、車で行ける範囲にこんなに素敵な場所があるよ、という箱根の良さを改めて発信できないかと考えたんです。箱根町と星野リゾートとベルマーレとの特別プランですね。ベルマーレグッズを持って箱根の街を回ると、いろいろな特典を受けられるんですが、この企画はクラブと地域がつながった良い事例だったと思っています」

 また、神奈川県で活動する15のスポーツチームで行った「One KANAGAWA Sports All-Star Cup 2020」も、「非常に財産になった」と渋谷さんは振り返る。「スポーツでひとつになって、みんなで乗り越えよう」というコンセプトのもとにサッカー、野球、バスケットボール、フットサル、アメフトが集い、eスポーツ大会をオンライン開催したが、競技の垣根を越えて地域のために行ったこの取り組みは、「アフターコロナでもまた同じ空間で楽しみたい」と意義あるものになったという。

 他にも、オンラインスカウト「BELLMARE DREAM BOX」やクラブパートナーと本音で語り合う湘南対談企画「湘談」など、コロナ禍で生まれた企画は限りない。なぜ、こんなにもたくさん、しかもスピーディーに企画が生み出されていくのだろうか。渋谷さんは「社風だと思います」と明かした。

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