キーワードは止められない「ニア上」 元日本代表GKが見たリーガ最多34得点のMVP候補スアレスの凄み
一流ストライカーゆえの「クレイジーなメンタル」
「スアレスのように常にシュートに持ち込もうとしつつ、相手の状況まで考えてシュートを打てるか。そういったレベルに達している日本人ストライカーは何人いるだろうか、とは感じています。言い方に少し語弊があるかもしれませんが、ストライカーはどこかクレイジーな部分を持っていなければ務まらないのかもしれません」
ゴールの天井を狙うスアレス必殺のパターンはGKにとっては脅威。横、股下に対する意識を散漫にさせる効果も持つ。対峙したその一瞬で最高のフィニッシュを選択できるスアレスの強靭な精神性は、異常なまでのエリアに達しているという。
点取り屋ならば技術だけでなく、獰猛な得点感覚と相手の状況を見極める冷徹さを両立させて、威圧感を与えなければならない――。土肥氏が語る『スアレス論』は、決定力不足という永遠の課題を抱えてきた日本人ストライカーも耳を傾けるべきだろう。
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茂野聡士●文 text by Satoshi Shigeno
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images