キーワードは止められない「ニア上」 元日本代表GKが見たリーガ最多34得点のMVP候補スアレスの凄み
東京Vの土肥GKコーチが語る GKの急所を突く絶大な技術
バルセロナのウルグアイ代表FWルイス・スアレスが23日のスポルティング・ヒホン戦で4ゴールを挙げ、リーガ史上初となる2試合連続4得点をマーク。ピチーチ(得点王)争いで34ゴールと2位のFWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)に3点差をつけて首位に立った。バルセロナが誇る「MSNトリオ」の中でも今季一番ゴールを量産中で、リーガ連覇へのキーマンであることは間違いない。
味方にすれば最高に心強い存在だが、相手としてみればスアレスは恐怖の存在となる。GKの視点に立った時、スアレスの凄みはどこに感じるのだろうか。解説したのは元日本代表GKで現在は東京ヴェルディのGKを務める土肥洋一氏だ。
「スアレスは今年もバルセロナがリーグ優勝するのなら、メッシを差し置いてMVPになるかもしれませんね。今年の活躍は尋常ではありません。ゴールキーパーの視線から彼のプレーを見ると、GKにとって嫌なポイントを本当によく分かっているな、と思って見ています」
熊本県出身の土肥氏は地元の強豪校・大津高校から日立製作所(現柏レイソル)に入団した。その後はFC東京や東京Vで正守護神の座を守り続けた。またジーコジャパン時代には楢崎正剛(現名古屋グランパス)、川口能活(現SC相模原)らと切磋琢磨し合い、06年ドイツ・ワールドカップ日本代表メンバーにも選出された実績の持ち主だ。
現在は東京Vで次代の日本を担うGKを育てる一方、24日には福島県いわき市で行われた公益財団法人・東日本復興支援財団の「みんなでがんばろう日本」の新たなプロジェクトである「東北『夢』応援プログラム」に参加。いわき市内の小学6年生のGKに「夢応援マイスター」として熱い指導を行うなど、様々な形で、日本のスポーツ文化向上に力を注いでいる。
そんな土肥氏が見たストライカー・スアレスの真骨頂は“ニア上”を撃ち抜く能力だと言う。
「スアレスが特にそうなんですが、南米のストライカーは相手DFやGKにとって嫌がるところを狙うシュートパターンを持っている。例えば、あえてグラウンダーで打たずに“ニア上”、つまり天井を打ち抜いてくるパターンを見ませんか? それはきっとスアレスが小さい頃から『GKにとって反応しづらい場所はニア上だ』と肌で学んできたからこそだと思います」