「サッカーが好きな子どもに何を見せたいか」 白熱の首位決戦後に浦和の司令塔が語った熱き思い
「昔のJリーグはどのチームもガチンコで…」
柏木は、自身の幼少期を振り返ってこうも話した。
「昔のJリーグは、引いているチームはほとんどなかったと思う。どのチームもガチンコで戦って、カウンター合戦みたいになっていたけど、そっちの方が見ている子どもたちはワクワクすると思う。もちろん、戦術的には難しいのかもしれないけど……」
プロサッカーには「結果が全て」という言葉がどうしても付きまとう。浦和も、4シーズン連続でタイトルを寸前で逃しているし、それもまた「結果が全て」ではある。とは言え、Jリーグが日本の国内サッカーのトップカテゴリーとして存在する以上、正々堂々のぶつかり合いはその試合を目撃した者の心に痕跡を残すはずだ。
柏木は、常日頃から「サッカーが好きな子どもたちに、何を見せたいか、見てもらいたいか」という視点を持って話す。それは、勝負の世界の厳しさと同時に、プロ選手として常に頭の中に置いておくべきことのはずだ。
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轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada