中村が気迫のPK奪取も広島に惜敗… 「攻撃の幅が少ない」横浜FMが直面する課題とは

”背番号10”に頼り切りの現状のままでは…

 しかし、試合のムードを一変させることはできなかった。同点ゴールから2分後の同27分、中村がボールを奪われたところからDFの裏を突破されると、最後はMFミキッチのクロスから再びウタカに決められて勝ち越しを許した。

 その後、横浜FMに再び同点とする力は残されていなかった。シュートを11本放ちながら、その多くが空砲に終わったことで、中村は「攻撃の幅や引き出しが少ないかな」とチームが直面する課題を口にしていた。

 今季は新戦力としてMFマルティノスやFWカイケが加入。日本代表FW齋藤学らを含めたカウンターアタックの威力は、2日のG大阪戦(2-1)や16日の磐田戦(5-1)で証明した。また、チームの伝統でもあるセットプレーの破壊力も健在である一方、10日の浦和戦(0-0)やこの広島戦で露呈したように、自陣に守備ブロックをしっかりと作りスペースを消してくる相手と対峙した時に、思うようにパスをつなげず、攻撃に閉塞感が生まれることが大きな課題となっている。

 主将としてチームをけん引するレフティーは、今季すでに直接FKから2得点と、J1でのFK最多得点記録を更新し続けている。卓越した個人技でチームを救う中村の存在は大きく、さすがというほかないが、そこに頼りきりの現状のままでは、タイトル争いに勝ち残っていくのは難しいだろう。

【了】

石川 遼●文 text by Ryo Ishikawa

 

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