“三笘級”のインパクトを残せるか 2021年Jリーグ、ブレイク候補の「逸材ルーキー6人」

逸材揃いの鹿島、DF林尚輝はブレイク候補の1人

■林 尚輝(大阪体育大→鹿島アントラーズ/DF/22歳)

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 アントニオ・カルロス・ザーゴ監督が2年目となる鹿島アントラーズの新加入選手は、外国籍選手を除くと大卒、高卒、ユースからの昇格を合わせて6人全員が新卒選手という構成。昌平高で高校サッカー選手権を沸かせたMF須藤直輝や明治大から加入のDF常本桂吾など、1年目から出番を得そうな選手は他にもいるが、主力としてブレイクする可能性で言えばDF林尚輝を挙げたい。

 背番号23には「2番目の3番」という意味が込められており、現在は空き番号となっている”鹿島の3番”を付けることを目標に掲げている。大学時代は五輪代表候補でもあるDF田中駿汰(北海道コンサドーレ札幌)と一緒にプレーするなかで基準を引き上げており、どうすればそうしたレベルに辿り着けるかを見据えているのは大きな強みだ。

 特長はボールを奪える守備。さらに一発でアシストも狙える縦パスを武器に、攻撃時のポジショニングなど、ザーゴ監督のスタイルならではの課題に向き合っているようだ。まだ細かい判断などは学習している最中だが、ゲームコントロールの部分でも存在感を発揮していく自信はあるという。DF犬飼智也を筆頭にDF町田浩樹、DF関川郁万というタレントを揃える鹿島だが、かつての岩政大樹などタイトル獲得を支えてきたOBに比べれば、まだまだ絶対軸が定まっているとは言い難い。そのなかで意識の高い大卒ルーキーが突き抜けていく可能性は十分にある。

■児玉駿斗(東海学園大→名古屋グランパス/MF/22歳)

 現代サッカーにおいて“ファンタジスタ”という表現は必ずしも褒め言葉ではない。しかしながら、大学1年の時点で加入内定していたテクニシャンは2年次から特別指定選手としてチームに参加しており、風間八宏前監督の下で技術と見る目を引き上げ、マッシモ・フィッカデンティ監督の下でハードワークをベースアップさせながら、戦術眼を磨いてきた。

 創造性の高いパスセンスに疑いの余地はない。そこにハードワークや周りを使い、使われる意識を融合することで、“現代型ファンタジスタ”として才覚を伸ばしている。“タイトル請負人”でもある司令塔のMF阿部浩之に“弟子入り”して質問攻めにするなど、状況判断の向上にも余念がないようだ。さらにFW柿谷曜一朗との出会いも向上心を刺激しているようだ。

 現時点では4-2-3-1の2列目のあらゆるポジションで3番手ぐらいの位置付けだが、序盤戦の過密日程やセントラル開催のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)など、チャンスはいくらでもある。途中出場からでも違いを生み出せるタイプだけに、早い段階から注目しておいて損はないだろう。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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