自分にしかできないゴールを “人間ブルドーザー”鄭大世が貫く唯一無二のストライカー像
【鄭大世インタビュー|Vol.1】クライファートを理想像に掲げストライカーの道を邁進
2021年シーズンからJ2のFC町田ゼルビアに加入した元北朝鮮代表FW鄭大世は、昨季総得点数でリーグ18位タイ(41得点)と苦しんだ攻撃の切り札として期待される。日本、ドイツ、韓国の3カ国でプレーし、2010年には南アフリカ・ワールドカップ(W杯)にも出場。プロ16年目、世界を知る男が貫いてきた“理想のストライカー像”を訊いた。(取材・文=Football ZONE web編集部・小田智史)
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9歳からサッカーを始めた鄭大世が憧れのFWとして追い求めてきたのは、アヤックス(オランダ)、ACミラン(イタリア)、バルセロナ(スペイン)など欧州の名門で活躍した元オランダ代表FWパトリック・クライファートだった。188センチの長身にして足元の技術にも長けていたが、1998年フランスW杯準決勝のオランダ対ブラジル戦で後半42分に生まれたヘディング弾に感銘を受けたという。
「1998年(フランス・)ワールドカップのヘディングが強烈すぎて、パトリック・クライファートという存在が頭に焼き付きました。彼のヘディングはボールがホップするイメージ。高校の時、唯一ユニフォームを買ったのも、バルセロナ時代のクライファートです。あんなヘディングのゴールを決めたくて、ずっと練習していました」
クライファートに関しては、鄭大世にとって忘れられないエピソードがある。2013~15年に韓国1部の水原三星ブルーウィングスでプレーした際、マンチェスター・ユナイテッドでも活躍した韓国の英雄MFパク・チソンと親交を深めた縁で、主催するチャリティーマッチに招待されるようになった。2016年1月に上海で行われた「2016 Asian Smile Cup in China」に、憧れのクライファートがチームメートとしていたのだ。
「『Kluivert』って書いてあって、まさかあのクライファートじゃないよなと思って行ったら本人で、マジで感動しました。ウォーミングアップの時にチュンソン(李忠成/現・京都サンガF.C.)と近づいていったんですけど、川崎フロンターレで初めて練習参加した時、相馬(直樹)さんとの基礎練習でまともにボールを返せなかったように、緊張しすぎてリフティングができないんですよ。神様のような存在のクライファートと一緒にウォーミングアップできて、本当に光栄でした。試合では2トップを組んで、帰りのバスで電話番号を聞いて。今も携帯に入っていて、僕にとってはお守りみたいなものです(笑)」