コロナ禍で「Jリーグクラブができること」 大宮がオンライン配信で縮めた地域との距離

試合日には店頭に大宮のフラッグを出してくれるお店が多くある【写真提供:大宮アルディージャ】
試合日には店頭に大宮のフラッグを出してくれるお店が多くある【写真提供:大宮アルディージャ】

実際に飲食店を取材し紹介してきたから分かること

 撮影と編集を担当した美馬さんは、自粛期間中に「もしかしたら、このあと動画が必要になるかもしれない」と思い、使いやすい編集アプリを探したり、独学で使ってみたりしていたという。「昨年はコロナ禍の影響でスタジアム入場者も減り、収入面でもだいぶ厳しかった。お金に余裕もなかったので、できるところは自分たちでやっていこうと考えました。それで、スタッフが出演して、スタッフが撮影して編集した。本当に素人の手作り企画なんですけど、途中からは作業自体も楽しくなってきたんです」と当時を振り返った。

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 生配信で紹介した2店舗を含めると、全部で19店舗を紹介。回数を重ねるごとに取材にも慣れ、始めた頃は1時間半ほどかかっていた取材も、最後のほうでは約20分で終了するようになった。それでも編集作業には毎回3~4時間はかかったし、決して楽な作業ではなかった。それでも、やったことに大きな意義を感じている。

「取材が終わったあとに、何度かテイクアウトした時やその後ポスター配布で出向いた時に飲食店の皆さんの反応がすごく良くなっていると感じますし、そうやって少しでもアルディージャに対して好意的な印象を持っていただけたことは大きかったですね」(金田さん)

「『配信を見て来てくれたお客さんがいたよ』と言っていただけたことは嬉しかったですね。それに、今回のこの企画を通して、一つひとつの店舗と真摯に向き合うことができて、どうしたらこのお店の良さを伝えることができるんだろうというのを考えながら取り組めたことは、私個人としてもいい経験になりましたし、とても勉強になりました」(美馬さん)

 コロナ禍で、私たちのコミュニケーションは激減した。Jリーグクラブのホームタウン活動は地域の人々と密接に関わり合うからこそ、コロナ禍での活動は難しい。

 しかし、だからこそ「ちゃんとコミュニケーションを取っていくことや、顔を合わせられる手段が大事なんじゃないかと思うんです」と美馬さんは言う。

「クラブで働いている人の顔やキャラクターを見せて知ってもらうことで、より親近感や離れてしまっている物理的な距離を少しでも縮められないか。そんな思いで、昨年は意識してスタッフが前に出た企画を行ったんです。あくまでもクラブのため、アルディージャを好きになってもらうきっかけみたいなものですね」

 2月26日に2021シーズンのJリーグが開幕する。都市部では2度目の緊急事態宣言が発出され、先行きは不透明なままだ。

「今の時点で今シーズンはまだどうなるか分からないですけど、そのなかでもできることを一つひとつ見つけてやっていくしかないのかなと思います。地域の皆様がどんなことを求めているのかを聞き逃さないようにして、僕らにできることをやっていくだけですね。できることは、なんでもします!」(金田さん)

 地域と真摯に向き合う姿勢を、コロナ禍のホームタウン活動でも発揮した大宮アルディージャ。昨年誕生した“名物スタッフ”の活躍からも目が離せない。

※金田さん、美馬さんの役職は取材当時。

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