コロナ禍で「Jリーグクラブができること」 大宮がオンライン配信で縮めた地域との距離
【コロナ禍のホームタウン活動】大宮アルディージャ編:相次ぐイベント中止、スタッフが抱えたモヤモヤした感情
2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響はJリーグの試合開催だけでなく、各クラブが行う様々な活動にも及んだ。そのなかの一つにホームタウン活動がある。昨年3月には最初の緊急事態宣言が発出され、“ステイホーム”が合言葉になった。スタジアムから、街から、人が消えたことで、地域の飲食店が苦しんでいることを知った。
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「コロナ禍のなかで、僕たちに何ができるのか?」
大宮アルディージャが行ったオンデマンド配信『ホームタウン飲食店紹介』について、担当者に話を聞いた。
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Jリーグクラブのホームタウン活動は、クラブがある地域での活動全般のことを指す。埼玉県さいたま市をホームタウンに持つ大宮は、「手話応援」や「クリーン作戦」を始めとした特色のある活動が多いことで知られる。ホームタウン担当の金田紳也さんは、「ホームタウン活動というのは現地に出向いて行う活動がほとんどなので、緊急事態宣言が解除されてからもほとんどの活動ができなくなってしまいました」と当時を振り返った。
「例年ですと、地域の夏祭りやイベントに参加していたのですが、それ自体が中止になってしまいました。さらに『ファンフェスティバル』や『クラブハウスオープンデー』といったクラブ主催のイベントもすべてが中止になり、ホームタウン活動としては何もできない状況でした。僕たちは“地域に何が貢献できるか”というテーマで活動しているので、街に出ることができない、顔を出すことが逆に迷惑になってしまう、という状況に本当にモヤモヤした感情を抱えていました。ミーティングでは『本当に僕たちがやっている活動は必要なことなのか』という話まで出たくらいです。あの頃は、何もできないことが本当にもどかしかった」
ようやくJリーグが再開したのは、6月下旬だった。通常時ならば、ホームゲームの開催前日に大宮駅の東口と西口にある数百店舗の飲食店をクラブスタッフみんなで訪問する。しかし昨年はホームタウン活動が止まり、時間があったため、ホームタウン担当6名で一軒一軒を回ることになった。
「いろいろな部署が『今何ができるのか』を考えたなかで、ホームタウン活動としてはSNSを使って地域のお店を紹介する企画をやってみようということになった」
そこで、SNSに掲載する飲食店を募るチラシを作成して、一緒に配って回った。
そうして立ち上がったのが、クラブマスコットであるアルディのツイッターアカウントを使った『#アルディの大宮さんぽ』だった。しかし、掲載を依頼する連絡はほとんど来なかったという。
「配布したのは『クラブ公式のSNSに掲載するので、興味があれば連絡ください』という内容のチラシだったのですが、受け身に回ると全く連絡が来なかったので、こちらから個別に協力してくれそうな飲食店に連絡するなど、かなり能動的に動きました」
同時に、Jリーグ再開コンテンツとして企画された『橙広場オンライン』というYouTubeの企画も立ち上がった。