「今が僕にとってのハイライト」 長谷部誠、ドイツ14年目で辿り着いた“ベストチーム”

狙うはクラブ史上初のCL出場権獲得「僕らにはそのためのクオリティーがある」

 そして長谷部は、フランクフルトがブンデスリーガの中でさらに上のステータスを手にできるクラブへ成長できるチャンスがあると見ている。

「アイントラハト(フランクフルト)はバイエルンに次ぐドルトムント、ボルシアMGやライプツィヒといったクラブで形成されるグループに入れると思っています。でも、そこへ辿り着くためには毎年インターナショナルな場へ出場し続けなければならない。ベストはチャンピオンズリーグ出場ですね」

「チームにおける戦力的な状況とかを考えると、アイントラハトでリーグトップ4というのは、これまでのものよりもっと大きな成功だと思います。フランクフルトは今まで一度もチャンピオンズリーグに出場したことがないんですから」

 今のフランクフルトは、チームとして非常にバランスが取れている。ドイツ代表GKケビン・トラップとオーストリア代表DFマルティン・ヒンターエッガーを中心に堅い守備を形成し、前線ではポルトガル代表FWアンドレ・シウバがゴールを量産。中盤では日本代表MF鎌田と元ドイツ代表FWアミン・ユネスが次々にアクセントを加えていけば、左サイドからは完全復調したセルビア代表MFフィリップ・コスティッチが次々と相手守備を突破していく。そして周りの選手に引っ張られるように、若手センターバックのDFエバン・ヌディカとDFトゥタは、どんどん自信を深めて好パフォーマンスを披露しているのがとても象徴的だ。

 シーズンはあと13試合。フランクフルトは最後に、順位表のどこへ立っているのだろうか。その先にヨーロッパへの扉は開かれているのだろうか。

「みんな夢を見ることはできるし、それを信じることも、手にしたいと思うこともできます。僕もそうです。僕はこれまでチャンピオンズリーグで6試合出場したことがあります。そして今、僕らにはそのためのクオリティーがあるし、いいチームだと思っています。これからも謙虚に取り組み、一つひとつの試合に集中していかないと」

 キャプテンとして、そしてリーグ優勝、CL出場経験があるベテラン選手として、長谷部はフランクフルトを牽引していく。恐れるものは何もない。自分たちの全力で走り続け、目の間に立ちふさがるあらゆる障害を自分たちで排除していくだけだ。

 今節のフランクフルト対バイエルンの一戦は、今季最高のバトルになるかもしれない。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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