「今が僕にとってのハイライト」 長谷部誠、ドイツ14年目で辿り着いた“ベストチーム”
【ドイツ発コラム】絶好調フランクフルト、リーグ10戦無敗で王者バイエルンと激突へ
元日本代表MF長谷部誠と日本代表MF鎌田大地がプレーするフランクフルトは、現地時間20日のブンデスリーガ第20節でバイエルン・ミュンヘンと対戦する。前回10月24日に行われた第5節ではアウェーで0-5と完敗しているが、あの時と今とでは状況がだいぶ違う。FIFAクラブワールドカップでも優勝を果たした絶対王者のバイエルンだが、過密日程による影響は少なくなく、今季は取りこぼしがたびたび見られる。
一方のフランクフルトは、リーグ10戦無敗で4連勝中と目下絶好調。2-0で勝利した前節ケルン戦後に広報を通じて送られてきた長谷部のコメントからは、確かな自信の高まりを感じさせる。
「試合を通して我慢の試合になりました。前半多くのチャンスを作って、ハーフタイムを0-0で折り返しましたけど、続けていけば点は入るとみんなで話していたし。そのなかで落ち着いてゲームを運べて、最終的に2-0で勝てた。チームは非常に落ち着いているし、すごく成長を感じる。こういうゲームに勝てるというのは非常にいい雰囲気でもある。ピッチの上のプレーだけではなくて、そういうメンタリティーも上がってきていると思う。あとはこれを続けていくこと。次はバイエルンなので、ブンデスリーガを面白くするためにも勝ちたいと思います」
バイエルンに勝ちたいとはっきり口にした。そしてチームへの絶対的な信頼。いつでも貪欲で、向上心の塊である長谷部は、どれだけ快勝した後でも必ず反省をする。もっといいプレーができたはずだと自分たちを顧みて、調子に乗ったら足をすくわれると戒める。そんな長谷部が太鼓判を押すくらい、今のチームはあらゆることが上手くいっているようだ。
「シュポルト・ビルト」誌のインタビューにも、長谷部の力強い言葉が並んでいた。
「僕が7年前にここへ来ることになった時は、毎年のように残留争いをしていましたから。今のチームはこれまで僕がプレーしてきたなかでもベストチームだと思います」
「2009年のヴォルフスブルク時代に一度11戦無敗ということがありました。あの時は本当に流れが良くて、最終的にリーグ優勝もできました。でも今が僕にとってのハイライトで、ブンデスリーガにおける最も素敵な瞬間だなと思っています」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。