【独占手記】現役選手のまま他界した久光重貴、四十九日に寄せて 「今もヒサとは『共に』戦っている」

久光重貴さん(右から3番目)はフットサルリボンなどともにがんの啓蒙活動に取り組んだ【写真:河合拓/Futsal X】
久光重貴さん(右から3番目)はフットサルリボンなどともにがんの啓蒙活動に取り組んだ【写真:河合拓/Futsal X】

ヒサがよく使っていた「当り前じゃない」という言葉

 生前、ヒサは「当り前じゃない」という言葉をよく使っていた。サッカーができていることも、生きていることも、当たり前でいいんだけれど、それがありがたいことに気付いてほしい、感謝の気持ちを持ってほしいという考え方だ。

 この1年はコロナ禍で、多くの人が日常のありがたみを感じたと思う。でも、その気持ちはまた薄れてしまう。それは平和の証であって良いことだけど、その当たり前があるありがたみを、生きているありがたみを、ヒサを近くで見てきたぶん、忘れずにいたい。そして、ヒサはフットサルが広まっていくことを強く望んでいたと思うので、その思いも僕らは引き継いで、少し元気のなくなってきたフットサル界を盛り上げていきたいと思う。

 毎週金曜日には、彼のことを思い出しながら、「妥協しちゃいけない」「当り前じゃない」と、嫌なことがあっても、矢印を自分に向けて取り組んでいきたい。言葉だけではなく、行動からも、ヒサはそうすることの重要性を示してくれたし、それは本当に自分も実践しないといけないし、落とし込みたい。

 どんな状況になっても、ヒサは自分のことよりも他者を思いやっていた。そのエネルギーが、どこから来るんだろうと不思議だった。その答えは今も出ていないけれど、この約8年間をヒサと過ごし、一緒にいられたことは、自分の成長につながることばかりだった。これからフットサル界に入ってくる選手たちにも、こういう選手がいたんだということは伝え続けないといけない。今、自分が指揮を執っているデウソン神戸の選手たちにも、その精神は植え付けていきたいと思っている。

(Futsal X・河合拓 / Taku Kawai)



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