“J最強助っ人”マルキーニョス、震災復興への尽きぬ思い 「一生胸に刻み、応援する」
【あのブラジル人元Jリーガーは今?】マルキーニョス(元横浜FM、鹿島ほか):後編――現在は農場経営とフッチボレー選手の二足の草鞋
日本で計15年間プレーしたブラジル人FWマルキーニョスは、J1では外国籍選手として最多の333試合に出場し、通算152ゴールも外国籍選手最多、全選手の中でも歴代6位を誇る。2001年に加入した東京ヴェルディをはじめ、横浜F・マリノス、ジェフユナイテッド市原(当時)、清水エスパルス、鹿島アントラーズ、ベガルタ仙台、ヴィッセル神戸でプレーし、2015年を最後に現役を引退した。今、故郷であるブラジル中西部のマトグロッソ・ド・スウ州で、その歴史を振り返り、自分でも改めて驚いている。
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「ヴェルディでプレーするために初めて日本に行った時は、シーズン中盤から6カ月の契約だったから、それを満了して帰国したら、もう日本に戻ることもないんだろうと思っていた(笑)。でも、いろんなことが起こるべくして起こって、これほど長い年月を日本で過ごし、プレーできたことに心から感謝している」
現在のマルキーニョスは、二つの活動を軸に暮らしている。
「農場を経営しているんだ。始めたのはヴェルディでの1年目だから、もう20年近くになる。両親や親戚と一緒にやっていて、事業は順調だし、どんどん成長しているよ」
もう一つが、フッチボレー(ビーチバレーのサッカー版)の選手としての活動だ。大会の優勝トロフィーやメダルが、Jリーグ時代のものと一緒に、自宅に並んでいる。
「全国選手権もあるけど、僕はパラナ州やサンパウロ州、マトグロッソ・ド・スウ州など、州単位の大会に出ている。趣味の延長だけど、練習が大好きだから、自宅に作ったコートで、仲間と毎日練習しているんだ。フッチボレーが良いのは、引退しなくていいこと。ずっと続けていくつもりだよ」
そんな彼が、自分の近況よりも熱心に語るのが、かつてのチームメートたちの今。元日本代表MF本山雅志もその1人だ。現在41歳の本山は、2015年まで鹿島で活躍したあと、ギラヴァンツ北九州で4年間プレー。その後、1年間の無所属を経て、マレーシアのケランタン・ユナイテッドFCで、初の海外挑戦をしようとしている。
「良い選択だよ。プレーをしたいから、現役にこだわる。何歳になろうともね。日本で所属先を探しても良かったのでは、とは思うけど、彼の実力があれば、どこでプレーしようとも、彼自身や周囲のサッカーを進化させることができる。モトヤマは、僕が一緒にプレーした中でも、最高の選手の1人。才能豊かな彼のプレーを見るのが好きだし、尊敬している。だから、彼の新たな挑戦を幸せに思うよ」
藤原清美
ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。